IT連携マップシステムどうしのデータ連携・接続仕様のまとめ

OAuth とは何か — パスワードを渡さず、範囲と期限を決めて許可する仕組み

用語・仕組み — API とは・OAuth とは・レート制限とは最終更新 2026-09-14約 1,300 字

外部のサービスに自社のシステムを連携させるとき、素朴に考えるとそのサービスに ID とパスワードを教えることになります。これは危険です。渡した相手は何でもできてしまうからです。

この問題を解くために作られたのが OAuth 2.0 です。RFC 6749 という標準文書で定められています。OAuth の説明はこのページにまとめてあり、ほかの調査記事からはここを参照しています。


パスワードを渡さない、という発想

IDとパスワードを渡す場合と、OAuthで入館証を渡す場合を上下に対比した図。前者は範囲を絞れず、後者は範囲と期限を決めて渡せて取り消せる
IDとパスワードを渡す場合と、OAuthで入館証を渡す場合を上下に対比した図。前者は範囲を絞れず、後者は範囲と期限を決めて渡せて取り消せる

OAuth は、パスワードを渡さずに、限定的な権限だけを渡す仕組みです。会社の建物に例えると、受付が発行する「入館証」です。

OAuth の言葉 建物に例えると
resource owner 建物の持ち主(=あなた)
client 作業に入る業者
アクセストークン 入館証
scope 入れる範囲(どのフロアのどの部屋か)
有効期限 いつまで使えるか
取り消し 受付でその入館証だけを失効(ほかの入館証は無事)

「合鍵」に例えられることもありますが、合鍵は元の鍵の複製なので、この仕組みの説明としては逆です。合鍵は元の鍵と同じ扉が全部開き、期限がなく、無効にするには錠ごと替えるしかありません。OAuth はその 3 つとも反対で、範囲が絞られ、期限があり、それだけを取り消せます

規格の言葉では、許可を出す主体を resource owner、それが人間である場合を end-user と呼びます(RFC 6749)。「利用者」と書きます。なお resource ownerアクセス許可の主体を表す規格上の用語 であって、法律上のデータ所有権を定める言葉ではありません(ここは区別しておきます)。

「いつまで」と「取り消し」— 期限は短くても、取り消すまで続く

アクセストークンには 3 つの性質があります。連携ツールに渡す前に、それぞれをどこで確かめるかまで含めて見ておくと、渡したあとに慌てません。

性質 意味 確かめる場所
範囲(scope) 何を読めて、何を書き換えられるか 連携を許可する画面に出る一覧。各システムの認証欄(RenkeiMap の「認証」)
期限 アクセストークン自体は短い(1 時間などの例が多い)。ただし多くの実装ではリフレッシュトークンで自動更新され続ける 提供元の API 文書の「トークンの有効期限」
取り消し そのトークンだけを失効できる。規格側にもトークン失効の標準 RFC 7009 がある 各サービスの「連携アプリ」管理画面

期限について 1 つ正確に書いておきます。アクセストークン自体の期限は短くても、リフレッシュトークンで更新され続けるので、利用者の体感としては「期限が来たら切れる」のではなく「取り消すまで続く」ことになります。だから 取り消す場所 を先に確認しておく意味があります。

用語について 1 つ補足します。厳密には、OAuth 2.0 は認可(何を許可するか)の枠組みであって、認証(本人確認そのもの)は OpenID Connect などが担う別の話です。各社の公式資料は「認証方式」という見出しの下に OAuth を並べていることが多いので、この調査記録でもそれに合わせて認証方式の 1 つとして扱っています。

調査記録で確かめる

例として経理・会計のカテゴリで見ます。認証の方式と、選べる手段の 2 列です。

比較項目:

システム業務ワークフロー円滑度
API の認証方式
バクラク
API認証情報発行第三者認証ID/認証キー
会社が発行する API 認証情報を使う ベンダー公表
API を使う相手を認証するための情報は、会社の側から発行される。その情報は自分の費用と責任で厳重に管理するものとされ、第三者に使わせたり貸したり譲ったりすることはできない。ただし、社内やその業務関係者に個別サービスを使わせる目的の範囲でなら、使わせてよいとしている。発行された認証情報を使った利用は、本人による利用とみなされる。方式の名前(OAuth なのか鍵ひとつなのか)は規約には書かれていない。
ベンダー公表「バクラクAPI」利用規約 …()
採取元: 「バクラクAPI」利用規約 第4条・「バクラクAPI」利用規約 第2条(API認証情報)
調査日
board
APIキーAPIトークン
2方式の併用が必須: ①APIキー(x-api-key ヘッダー・アカウントで1つ発行)+②APIトークン(Authorization: Bearer・複数発行可でトークンごとに利用可能エンドポイントを指定可)。OAuthなし
ベンダー公表board APIドキュメン…()ほか 1 件
採取元: board APIドキュメント(認証・認可)・board APIドキュメント(APIキー)・board APIドキュメント(APIトークン)
調査日
e-Tax
APIキーメールでの発行申請利用規約への同意OAuth なし
API はAPIキー(API認証情報)方式で、専用アドレスへのメールでの発行申請と利用規約への同意が要る。セルフサービスで即時発行される OAuth なしの方式。利用者側の認証はマイナンバーカード等の電子証明書と利用者識別番号。
ベンダー公表国税電子申告・納税システムA…()
国税電子申告・納税システムAPI(ご利用に当たって) ベンダー公表 ℹ️発行申請書・変更届出書は Word 形式で配布され、メール件名の書式まで指定されている。開発者ポータルやコンソールで自動発行する仕組みは公開されていない。
採取元: API認証情報(APIキー)・同上・同上(利用規約)
調査日
eLTAX / PCdesk
利用者ID暗証番号マイナンバーカード電子証明書
利用者IDと暗証番号、またはマイナンバーカードで本人確認する。送信する申告データには電子証明書による電子署名を付ける。マイナンバーカードでのログインは利用申請が要る。
ベンダー公表eLTAXの概要(利用者認証)()ほか 1 件
採取元: eLTAXの概要(利用者認証)・PCdesk(マイナンバーカードログイン)
調査日
freee会計
OAuthスコープ
OAuth2(authorization_code)。
編集部確認公式 API スキーマ()
採取元: freee_accounting.json(securitySchemes)
調査日
freee申告
ログイン試行回数の制限リスクベース認証
サービスへのログインは freee アカウント。ログイン試行回数の制限に加え、リスクベース認証(普段と異なる環境からのログインはアカウントロック)を実施。
編集部まとめ出典()
採取元: freee セキュリティへの取り組み
調査日
invox
OAuth2.0アクセストークンクライアントID
OAuth 2.0。認可を経て発行したアクセストークンで呼ぶ。クライアント ID はベンダーが発行する(自己登録ではない)。
ベンダー公表invox API ドキュメ…()
採取元: invox API ドキュメント(認証仕様)
調査日
ジョブカン会計
アクセストークン
Bearer トークン認証 編集部確認
仕様書が宣言する方式は Bearer トークンのみ(HTTP Authorization ヘッダー)。加えて会社を特定する Jbc-Api-Client-Id、年度データを特定する X-Api-Data-Key といった独自ヘッダーが必須。
編集部確認ジョブカン会計API 仕様書…()
ジョブカン会計API 仕様書(認証) 編集部確認 ℹ️保存済みドキュメントに埋め込まれた OpenAPI 定義の securitySchemes は Bearer(type: http, scheme: bearer)1件のみ(編集部が機械的に確認)。申請フォームには「OAuth 2.0 認証による自社サービス・アプリとの連携」という選択肢と Callback URL の入力欄があり、OAuth を使う経路は個別申請の中で案内される模様だが、公開仕様書には OAuth の定義は無い。
採取元: ジョブカン会計API 仕様書(認証)
調査日
Misoca
OAuth2readwrite
OAuth2.0。スコープは read と write の 2 つ(write があれば読み込みもできる)。トークンの有効期間は 1 日で、必要に応じてリフレッシュする。
ベンダー公表Misoca API につい…()
採取元: Misoca API について(認証)
調査日
マネーフォワード クラウド会計
OAuthAPIキー
OAuth 2.0 による認可/API キーによる認証(主に2方式)。
編集部確認API 共通仕様()
採取元: API共通仕様(開発者サイト)
調査日
マネーフォワード クラウド経費
OAuthアクセストークン
OAuth 2.0(Authorization Code Grant)。securityDefinitions は `mf_expense_oauth`(authorizationUrl /oauth/authorize、tokenUrl /oauth/token)。 / スコープ6種:office_setting:write(事業者の設定から事業者の従業員の設定まで管理)/user_setting:write(ユーザー自身の設定)/transaction:write(明細の読み書き)/report:write(申請の読み書き)/account:write(連携サービスの管理)/public_resource:read(公開リソースの読み込み)。
ベンダー公表Swagger 定義(sec…()ほか 1 件
moneyforward/expense-api-doc README(2026-08-02 取得) 編集部確認 ℹ️アクセストークンには有効期限があり、リフレッシュトークンによる更新、即時無効化(revoke)、有効性確認のエンドポイントが用意されている。
採取元: moneyforward/expense-api-doc README・Swagger 定義(securityDefinitions.mf_expense_oauth.scopes)・moneyforward/expense-api-doc README(トークン操作)
調査日
マネーフォワード クラウド請求書
OAuthAPIキー
認可は OAuth 2.0。マネーフォワード クラウド共通では OAuth 2.0 による認可と API キーによる認証の 2 方式がある。
ベンダー公表クラウド請求書APIについて…()ほか 1 件
採取元: クラウド請求書APIについて(サポートサイト)・API共通仕様(開発者サイト)
調査日
楽楽精算
IPアドレス制限SSLクライアント認証
API 自体の認証方式(トークン/OAuth 等)は公開されていない。公開されているのはアクセス制限側の話で、「IPアドレス制限オプション」「SSLクライアント認証オプション」を契約している場合、API 連携の実行プログラムが到達できるよう、前者はアクセス元サーバーの IP を登録、後者はアクセス元サーバーに SSL クライアント証明書をインストールする必要があると明記されている。
編集部まとめ出典()
採取元: API連携オプション ご利用検討中の方へ(利用時の注意事項)・API連携オプション ご利用検討中の方へ(設定内容)
調査日
TKC FX2クラウド
つなぐときにどうやって身元を確かめるのかを書いた記載は、開いた範囲には無い。銀行やクレジットカードのデータを受け取る機能については、インターネットバンキングの契約や明細照会サービスの登録が要ること、提携先の利用規約への同意が要ることが案内されているが、これは相手側の手続きの話で、つなぎ方の認証方式ではない。
ベンダー公表会計ソフト FXクラウドシリ…()ほか 1 件
採取元: 会計ソフト FXクラウドシリーズ(銀行信販データ受信機能)
調査日
TOKIUM
SAMLメールアドレス権限
メールアドレスとパスワード、SAML ベンダー公表
画面にログインする方法として、メールアドレスとパスワードによる認証と SAML による認証が提供されている。SAML があるということは、会社の ID 基盤に寄せた運用ができる。管理者権限と承認者権限は利用ユーザーごとに設定でき、管理者によるユーザーの追加と凍結、利用者自身によるパスワードの再設定の機能がある。管理者権限を持つユーザーは、申込書に書かれたメールアドレス宛に発行される。なお、これは画面にログインするための話で、API を呼ぶときの認証方式は公開されていない。
ベンダー公表セキュリティホワイトペーパー…()
採取元: セキュリティホワイトペーパー(8.2 特権的アクセス権)・セキュリティホワイトペーパー(5.18 アクセス権)・セキュリティホワイトペーパー(5.16)
調査日
弥生(会計/青色申告 オンライン/Next)
第三者が叩ける公開 Web API が無いため認証方式も無い
調査日

条件なしで当てはまる  条件つき・一部  限定・要申請・無いと明記 × 当てはまらないと明記  編集部がまだ確認していません  提供元が公開していない(編集部が調べた) — 記号は編集部の札から機械で付けています。物差しは項目ごとに違い、列の見出しがその項目の意味です。札の意味と根拠は各セルの要約を押すと出ます。

材料の調査日(最新): 2026-09-03

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