AI エージェントが起こしたことの責任は誰が負うのか — 14 製品の免責と著作権補償
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AI エージェントが誤ってファイルを消したら、責任は誰が負うのか。 規約とライセンス本文を 1 件ずつ読むと、答えは 1 行でした — 14 製品すべてが「保証しない」と定めています。
分かれるのは「保証するか」ではなく、利用者を守る著作権の補償が在るかとどの国のどの法が使われるかの 2 つです。
ChatAI以上に深刻なのが、「AIエージェントが誤った操作をして顧客データが消えたり損害が出た場合、誰が法的責任を負うのか?」という問題です。
各社の利用規約(Terms of Service)を調査した結果、経営陣が直視すべき厳しい事実が判明しました。
| 区分 | 代表的な製品 | 操作事故・データ破損の責任所在 | 著作権侵害の補償(知財補償) | 契約上の必須防衛策 |
|---|---|---|---|---|
| 大手クラウド・IDE組込(4製品) | GitHub Copilot, Codex, Antigravity, Kiro | 無保証(AS-IS)と責任制限を規約で明記 | 補償条項あり(GitHub Copilot・Kiro・Codex。補償の向きと範囲は各製品の規約の原文を参照)/Antigravity は開いた範囲に記載なし | 本番直結禁止・コミット前の差分目視確認 |
| 自律特化型クラウド(4製品) | Devin, Manus, Agentforce, CrewAI | 無保証と責任制限を規約で明記(Agentforce は黙示保証の否認と責任上限。有償サービスを「現状有姿」とは書いていない) | 補償条項あり(Devin・Manus・Agentforce・CrewAI。補償の向きと範囲は各製品の規約の原文を参照) | サンドボックス隔離・前払クレジットの最小購入 |
| 手元デスクトップ・エディタ(3製品) | Cursor, Claude Code, Claude Cowork | 無保証(AS-IS)と責任制限を規約で明記 | 補償条項あり(3製品とも法人契約の条項。Anthropic は第三者請求から顧客を防御する定め) | 自動復元ポイントの確保・Gitブランチ運用 |
| オープンソース・自社常駐(3製品) | OpenClaw, Hermes Agent, Cline | ライセンス本文の無保証・責任制限(MIT/Apache-2.0) | 利用者を守る補償は無い。Apache-2.0(Cline)の補償条項は「再配布する側が貢献者を補償する」向きの定めで、利用者を守るものではない。MIT(OpenClaw・Hermes Agent)に補償条項は無い | Docker等の隔離実行・アクセス権限の厳格化 |
調査記録で確かめる
提供元・本社の国(準拠法の記載を含む)・公式の出典は調査記録から引けます。記号をクリックすると原文と調査日が出ます。
比較項目:
| システム | 基本情報 | ||
|---|---|---|---|
| ベンダー | 提供元の国・準拠法 | 公式ページ | |
| Agentforce(エージェントフォース) | 株式会社セールスフォース・ジャパン / Salesforce Japan Co.,Ltd.(設立2000年4月、資本金1億円)。本社は米国 Salesforce, Inc.。 | 米国本社 Salesforce, Inc. の所在地はサンフランシスコ。 | |
| Antigravity(Google) | Google(Antigravity 追加規約上の提供者表記) | 編集部がまだ確認していません | |
| Claude Code | 消費者向け利用規約の準拠法は米国カリフォルニア州法と定められています。 | ||
| Claude Cowork | 消費者向け利用規約の準拠法は米国カリフォルニア州法と定められています。 | ||
| Cline(クライン) | 編集部がまだ確認していません | ||
| Codex(OpenAI) | 編集部がまだ確認していません | ||
| CrewAI(クルーAI) | 利用規約の準拠法は米国ニューヨーク州法で、専属管轄はニューヨーク州および米国の裁判所と定められている。 | ||
| Cursor | 利用規約上の契約相手は米国法人のAnysphere, Inc.です。 | ||
| Devin | 編集部がまだ確認していません | 公式ドキュメント。製品サイト https://devin.ai/ は 2026-08-26 時点でアクセスが集中しているとして表示されなかった。日本語の公式ページは確認できていない。 | |
| GitHub Copilot | 利用規約は「米国連邦法およびカリフォルニア州法に準拠する」と定めており、専属管轄はカリフォルニア州サンフランシスコ。 | 日本語の公式ドキュメント(GitHub Copilot ドキュメント)。製品ページ https://github.com/features/copilot は英語。 | |
| Hermes Agent(ヘルメス・エージェント) | 編集部がまだ確認していません | ||
| Kiro(AWS) | 編集部がまだ確認していません | ||
| Manus(マヌス) | プライバシーポリシー表記「Butterfly Effectはシンガポールで設立された会社であり」「弊社は、シンガポールに本社を置いており」。 | ||
| OpenClaw(オープンクロー) | 公式リポジトリ表記「MIT © OpenClaw Foundation」。 | 編集部がまだ確認していません | https://openclaw.ai/ (公式サイト・英語)。公式ドキュメントは https://docs.openclaw.ai/ 、公式リポジトリは https://github.com/openclaw/openclaw 。日本語版ページは確認できませんでした。 |
◎ 条件なしで当てはまる ○ 条件つき・一部 △ 限定・要申請・無いと明記 × 当てはまらないと明記 ? 編集部がまだ確認していません ― 提供元が公開していない(編集部が調べた) — 記号は編集部の札から機械で付けています。物差しは項目ごとに違い、列の見出しがその項目の意味です。札の意味と根拠は各セルの要約を押すと出ます。
材料の調査日(最新): 2026-09-05
まとめ — 決めること
- 「保証しない」は 14 製品に共通。読む価値があるのは 利用者を守る補償が在るかとどの法が使われるか
- オープンソース・自社常駐は補償が無い前提で、囲いと権限の絞り込みを設計に入れる
- 型ごとの必須防衛策を、導入の条件として稟議に書く
調べた範囲:AI エージェント 14 製品の利用規約・追加規約・ライセンス本文を 1 件ずつ読み、免責・責任制限・著作権の補償だけを抜き出しました(2026-08-26〜09-01 時点)。4 つの型は編集部の分類で、提供元がそう名乗っているわけではありません。法律の助言ではありません — 契約前にその日の版をご自分で開いてください。
ここから先は調査の詳細です(約 3 分)。上のカードだけで決められます。調べた 1 件ずつの記録は IT連携マップ に、出典 URL と調査日つきで公開しています。
調査の詳細
このページの答えは、以下の調べで出しました。対象・確認時期・出典を並べます。
① 14製品すべてが「保証しない」と定めている(13製品は「現状有姿(AS-IS)」を明記)
ここでは、各社の規約・ライセンスの保存した写しと原文どおりに照合して確認しました。 14製品すべてが、明示・黙示を問わず保証しないと定め、うち13製品はサービスを「現状有姿(AS-IS)」で提供すると明記しています。Agentforce(Salesforce の Main Services Agreement)だけは、有償サービスに明示の保証を置く一方で黙示保証を否認し、「現状有姿」は無償サービスとベータ版に限っています。
- Devin(Cognition): 規約は、Cognition は、その知的財産・サービス・文書、またはそれらを使った成果物や結果が、利用者や他の誰かの要件を満たすこと、中断なく動くこと、意図した結果に至ることを、いかなる種類においても保証しない)
- Cursor(Anysphere): 「本サービスおよび Suggestions は、現状有姿 (“AS IS”) かつ「提供可能な限り」 (“AS AVAILABLE”) 提供されます。ANYSPHERE は、本サービスおよび Suggestions に関して、明示か黙示かを問わず、いかなる種類の保証も行いません。」(日本語版規約の原文)
- OpenClaw: ライセンス本文は、本ソフトウェアは現状有姿で提供され、明示・黙示を問わずいかなる保証も伴わない。MIT ライセンス本文)
- Codex(OpenAI): 「本サービスは「現状有姿」で提供されます」(法人向け「OpenAI サービス契約」の免責事項の条、日本語版の原文)
- Agentforce(Salesforce): 規約は、本契約に明示する場合を除き、いずれの当事者も明示・黙示・法定を問わずいかなる保証も行わない)。ただし無償サービスとベータ版は現状有姿で提供されると、現状有姿の範囲を限っています
つまり、AIエージェントが起こした誤操作や事故の損害について、14製品はいずれも、責任を負わないか、負う額を利用料などの上限までに限ると定めています。これが契約上の出発点です。
② 著作権補償(Copyright Commitment)の限定性
生成されたコードや成果物が他者の著作権を侵害した際の「著作権補償」についても、ChatAIと同様、有償の法人契約に限定されます。
- 補償条項が規約の写しにあるのは、GitHub Copilot・Kiro・Devin・Manus・CrewAI・Cursor・Claude Code・Claude Cowork・Codex(法人向けサービス契約の「OpenAI による補償」)・Agentforce(Main Services Agreement の「Indemnification by SFDC」)です。ただし多くはセーフティフィルターを有効にしていることなど、厳格な免責要件が課されます(補償の向きと範囲は各製品の規約の原文を参照)。
- オープンソース系に、利用者を守る補償はありません。Cline の Apache-2.0 にも補償条項はありますが、これは再配布する側が貢献者を補償する向きの定めで、利用者を守るものではありません。OpenClaw・Hermes Agent の MIT ライセンスには補償条項そのものがありません。
結論:権限設計のガードレールが唯一の防壁
AIエージェントに仕事を任せるということは、「法律上は社員が手動で操作したのとまったく同じ法的責任を会社が負う」ことを意味します。だからこそ、後述する「権限の範囲を絞る」「本番直結を避ける」「承認ゲートを必ず挟む」という運用設計が、中小企業にとって死活問題となるのです。