レート制限とは — 呼び出し回数の上限と、当たったときの 4 つの作り方
API には呼び出し回数の上限(レート制限)があります。短い時間に大量の要求が集中するとサーバーが落ちるので、提供側が自衛のために設けている速度制限です。API に 1 回データを求めることを、このページではリクエスト(呼び出し)と書きます。サービスによっては同じものをクエリと呼びます。
上限を超えると何が返るか、単位はなぜ揃わないか
上限を超えると、多くの場合 429 Too Many Requests(要求が多すぎます)というエラーが返ります。429 は HTTP の状態を表す番号の 1 つで、「呼び出しが多すぎるので一時的に断った」という意味です。開発者から「429 が出た」と報告されたら、回数の問題だとすぐ分かります。
公開されている上限の単位は、システムごとに違います。
| 単位の型 | 例(公式資料の記述) |
|---|---|
| 1 日・1 秒・1 分など時間あたりの回数 | board: 3,000 リクエスト/日・3 リクエスト/秒。SmartHR: トークンごとに 1 時間 5,000 回・1 秒 10 回 |
| プラン別 | マネーフォワード クラウド経費: チーム 300 回/時間、コーポレート 3,600 回/時間、エンタープライズは無制限(ただし負荷次第で個別連絡や強制停止の可能性) |
| 契約の大きさで決まる総枠 | Salesforce Sales Cloud: 24 時間の総枠がエディションとライセンス数で決まる |
| 回数ではなくクレジット | Zoho CRM: 24 時間単位で無料版 5,000、有償版 50,000+ユーザー数比例 |
| 回数ではなく処理の重さ | Shopify: 1 回の処理の重さで制限(leaky bucket)。大量処理は Bulk operations(上限対象外) |
1 日・1 秒・1 分・10 秒・24 時間・クレジット・ポイント。分母が違うので、サービス同士の上限値を数字の大小で単純に比べることはできません。 もう 1 つの軸は上限を上げられるかで、追加購入で引き上げられるシステム(HubSpot)と「上限緩和には対応していません」と明記するシステム(board)があります。上げられないなら、上限内に収まる設計にするしかありません。
「書いていない=制限が無い」でもありません。freee会計 は仕様に 429 エラーの定義だけがあり上限値の記載がない、つまり制限はあるが値が公開されていない状態です。この場合「1 日何件処理できますか」に開発会社は答えられず、見積もりに幅が出ます。
上限に当たったとき、こちらの仕組みが何をするか
上限を超えたときに提供側で何が起きるかは、サービスによって違います。
| 提供側で起きること | 意味 |
|---|---|
| エラーが返るだけ | 多くはこれ(429) |
| しばらく待てば通る | 時間の枠がリセットされる |
| 個別に連絡が来る/強制停止の可能性 | 「無制限」と書いてあっても、無制限に呼び出してよいという意味ではない(マネーフォワード クラウド経費のエンタープライズがこの型) |
そしてエラーが返ったあと、こちらの仕組みが何をするかを決めておく必要があります。作り方は 4 つで、「何もしない」(止まったまま誰も気づかない)が一番まずく、「待って再試行し、記録して知らせる」が一番安全です。上限の値は RenkeiMap の調査記録 の「レート制限」欄に出典つきで置いてあります。
調査記録で確かめる
例として経理・会計のカテゴリで見ます。上限と、超えたときの扱いの 2 列です。
比較項目:
| システム | 業務ワークフロー円滑度 |
|---|---|
| レート制限 | |
| バクラク | 上限制限 数値の上限は示されていない ベンダー公表 一分あたり何回といった数の上限は規約にも機能のページにも書かれていない。書いてあるのは、負荷の状況に応じて事前の通知なく利用を制限できるということと、短時間に大量のアクセスをして運用に支障を与える行為を禁じているということ。つまり上限は運用側の裁量で、設計するときに当てにできる数字は公開されていない。 |
| board | 3,000リクエスト/日(リセットはUTC)・3リクエスト/秒・リスト取得APIの同時リクエスト4まで。超過時は 429 Too Many Requests。「上限緩和には対応していません」 |
| e-Tax | ―上限の公表なし 公開されている HTML のページには上限の公表なし。利用の可否はレート上限ではなく、利用可能時間(メンテナンス時間を除く)で区切られる形になっている。 |
| eLTAX / PCdesk | ― 開発者向けページと仕様書・様式集を確認したがレート制限の記載なし(API 仕様書一式そのものが申込制開示で、公開資料に制限値は載っていない) 開発者向けページと仕様書・様式集を確認したがレート制限の記載なし(API 仕様書一式そのものが申込制開示で、公開資料に制限値は載っていない) 調査日 |
| freee会計 | ― 上限の数値は非公開。仕様は 429 の応答に上限値・期間・残り回数・リセット時刻を返す欄を定義しているが、上限そのものの値は書かれていない。 |
| freee申告 | freee申告向けの公開 API が無いため、レート制限の概念が無い(freee 共通 API の制限は freee会計等のシステムを参照) freee申告向けの公開 API が無いため、レート制限の概念が無い(freee 共通 API の制限は freee会計等のシステムを参照) 調査日 |
| invox | 50メガバイト1度に1書類 回数の制限は書かれていないが、1 リクエストの上限が決まっている(ファイル込み 50MB)。書類の登録は 1 リクエスト 1 件で、まとめ登録はできない。 |
| ジョブカン会計 | ― 回数の上限値は、読んだ仕様書・API 利用規約・公開 API ヘルプのいずれにも書かれていない。API 利用規約の禁止事項に並ぶ号のうち、負荷に触れるのは「弊社サーバに著しい負荷をかけるような態様」での利用を禁じる一つだけで、回数の数値は無い。 ベンダー公表公式ヘルプ「動作環境」(1つ…()ほか 1 件
API のレート制限(回数上限)は公開されていない ジョブカン会計・見積/請求書API利用規約
採取元: API利用規約 第16条(禁止事項)・公式ヘルプ「動作環境」(1つの伝票に入力できる行数)
調査日 |
| Misoca | 1 ページ 100 件が上限。呼び出し回数の制限は未記載 API 仕様(swagger 定義)は 1 回の取得件数を per_page で 1〜100 と定めている。単位時間あたりの呼び出し回数を制限する記述は、開いた範囲には無い。 |
| マネーフォワード クラウド会計 | ― |
| マネーフォワード クラウド経費 | 300 回/時間3,600 回/時間無制限強制停止 契約プランごとに API の利用回数上限が公開されている。チームプラン 300 回/時間、コーポレートプラン 3,600 回/時間、エンタープライズプランは無制限。ただし無制限でも「システムに負荷がかかる場合」は個別連絡や強制停止の可能性があり、同時複数の API リクエストは避けるよう明記されている。API 仕様書(Swagger)側にはレート制限の記述はない。 ベンダー公表公式料金ページ(オプションプ…()
公式料金ページ(オプションプラン比較表) ベンダー公表 ℹ️上限の公開場所は料金ページのプラン比較表のみ。保存済み Swagger 全文(raw/api_index.json)を全文検索したが、レート制限・リクエスト上限の記述はなく、429(Too Many Requests)を返すオペレーションも 0 件(文字列「429」の出現はすべて数値上限 4294967295 の一部)。
採取元: 公式料金ページ(オプションプラン比較表)・公式料金ページ(注記 ※4)
調査日 |
| マネーフォワード クラウド請求書 | 4291秒3回まで エンドポイントごとにアクセス制御があり、超過時は HTTP 429。帳票作成系エンドポイントの目安は 1秒3回まで と明記。プランによっては各帳票作成リクエスト上限 100 の制限もある。 |
| 楽楽精算 | ― 公開仕様が無いためレート制限の公開もない 調査日 |
| TKC FX2クラウド | ― 一度に扱える件数や、時間あたりの回数の上限を示した記載は、開いた範囲には無い。連携一覧のページは、本ページに加えて TKC システム内に掲載の「他社業務システムとのデータ連携設定手順書」等を参考にするよう案内している。その手順書は公開ページには置かれていないため、そこに上限が書かれているかどうかは外からは分からない。 |
| TOKIUM | ―上限 API の仕様は公開ページからは見つからず、回数や頻度の上限を示す記述も、開いた範囲には無い。製品ページ・連携ページ・ヘルプセンターの公開部分・セキュリティ関係の資料を通して読んだが、上限にあたる記述は無い。上限があるかどうかは、契約して仕様を受け取れる立場にならないと確かめられない。 |
| 弥生(会計/青色申告 オンライン/Next) | ― 公開 Web API が無いためレート制限も無い 調査日 |
◎ 条件なしで当てはまる ○ 条件つき・一部 △ 限定・要申請・無いと明記 × 当てはまらないと明記 ? 編集部がまだ確認していません ― 提供元が公開していない(編集部が調べた) — 記号は編集部の札から機械で付けています。物差しは項目ごとに違い、列の見出しがその項目の意味です。札の意味と根拠は各セルの要約を押すと出ます。
材料の調査日(最新): 2026-09-03
この記事に登場するシステム(8)
HubSpotSalesforce Sales CloudShopifySmartHRZoho CRMboardfreee会計マネーフォワード クラウド経費