IT連携マップシステムどうしのデータ連携・接続仕様のまとめ

3 分で読む

「このシステムとkintoneを連携できませんか?」

そう聞いたところ、

「API連携が必要になりますので、○百万円ぐらいです」

と言われたことを、今でも覚えています。

「APIって、そんなに高いものなの?」

これが、私が改めて 「システム連携」 について調べ始めたきっかけでした。

ここでは、技術者向けにAPIのプログラムを書く話ではなく、

「そもそも、なぜシステムをつなぐのか?」 「APIは本当に必要なのか?」

という実務者の視点から、システム連携の構造を解き明かしていきます。


まず結論

APIを調べる前に書き出す4つ(何のデータを・どちら向きに・連携頻度とデータ量・データ編集と確認方法)を並べた図
APIを調べる前に書き出す4つ(何のデータを・どちら向きに・連携頻度とデータ量・データ編集と確認方法)を並べた図

APIについて調べる前に、私は次の4つを書き出すことをおすすめします。

確認すること
何のデータを 得意先情報、商品、請求書、勤怠など
どちら向きに 販売システム → 会計システム
連携頻度とデータ量 1日1回かリアルタイム、大量か少量
データ編集と確認方法 データ編集不要、後で人が確認できる

これら4点が分からないまま「APIを利用したい」と相談すると、不必要に大規模なシステム構築を提案される可能性が高いです。逆に言えば、

  • 毎日1回の処理で足りる
  • データ量が少ない
  • CSVで入出力が可能である
  • 途中で人が編集・確認する余地があってよい

という条件であれば、APIではなくCSVで十分かもしれません。 一方で、人が触らずに一日に何度も流したいのであれば、そこで初めてAPIが必要になります。 APIは「高度な技術だから使う」のではなく、業務上の必要条件を満たす最適な手段として選ぶべきものです。


APIを検討するとき、私ならこの順番で調べる

システム連携を検討する8ステップを縦に並べた流れ図。APIを調べるのは6番目
システム連携を検討する8ステップを縦に並べた流れ図。APIを調べるのは6番目

以上の調査を踏まえ、システム連携を検討する際の実践的な手順を8つのステップとしてまとめました。

業務を決める

何を自動化したいのかを具体化します。

データを決める

対象となるデータ項目を具体化します。

方向と頻度を決める

AからB、あるいは双方向か。そして、月1回、1日1回、リアルタイムなど必要な頻度を定義します。

純正連携を調べる

標準の連携機能が存在しないか調査します。これが一番簡単な場合があります。(→ 手段の比較

CSVを調べる

バッチ処理で十分な場合、CSV機能のデータ項目を確認します。

APIを調べる

ここで初めて、APIの仕様(対象データ、認証、レート制限、プラン等)を調査します。(→ APIの用語設計図の有無

データマッピングと動作環境を調べる

データ構造の違いを吸収する変換ルールを整理し、その連携処理をどこで動かすかを確認します。(→ 動作環境

最後に「誰が作るか」を決める

自社開発か、連携ツール(iPaaS(システム同士をつなぐ中継サービス))利用か、外部委託かを判断します。ここまでの1〜7で純正連携もCSVもAPIも使えないと分かった場合に、最後の手段としてRPA(画面操作)を検討します。


APIを「使わない」という判断も立派なDX

「API連携で○百万円」の見積もりが、4つを書き出した結果CSVで足りたという結論に変わる流れを3段で示した図
「API連携で○百万円」の見積もりが、4つを書き出した結果CSVで足りたという結論に変わる流れを3段で示した図

最後に、最初の「○百万円」の見積もりの話に戻ります。

見積もりを契機として業務フローを整理し直した結果、「販売管理から会計システムへ、月末に1回のみ、人間の確認を経て顧客情報を連携する」という要件であることが判明しました。

その結果、**「月に1回、CSVを出力して取り込む運用で十分である」**という合理的な結論に至りました。

「毎月1回の頻度でCSVを出力し、人間が確認して取り込む」運用で業務が回る要件に対して、連携ミドルウェアを導入し、エラー監視を構築するような重厚な仕組みは全く必要ありません。将来的に業務量が拡大し、リアルタイム連携が不可避になれば、その時点で改めてAPI導入を検討すればよいのです。

「APIを使わない」という判断を下すことで、最初の○百万円という無用な投資を回避することができた。 これこそが、システム連携を正しく理解することで得られた最大の成果です。


ここから先は調査の詳細です(約 8 分)。上のカードだけで決められます。調べた 1 件ずつの記録は IT連携マップ に、出典 URL と調査日つきで公開しています。

調査の詳細

このページの答えは、以下の調べで出しました。対象・確認時期・出典を並べます。

なぜ「システム連携」が必要になるのか

近年の業務環境では、一つのシステムですべての業務を処理することは少なくなりました。 見積・受注は販売管理、請求は請求書システム、会計は会計ソフト、勤怠は勤怠管理など、特化型のシステムを利用します。

システムが独立して動いていると、次のような問題が生じます。

販売管理「顧客A・売上100万円」
       ↓ 手入力による転記
会計ソフト「顧客A・売上100万円」

このように、人間がデータを運ばなければならない状態となります。これが「システム連携」が求められる背景です。

総務省の「令和7年版 情報通信白書」によれば、2024年のクラウド利用率は80.6%に達しています。しかし、東京商工会議所の2025年の調査によると、ITを「導入した」とする企業は約8割に達する一方で、「活用している」企業は約5割にとどまります。さらに、DXに向けた課題として最も多く挙げられたのが**「コスト負担」(31.9%)**です。 つまり、「システムは導入したが、システム同士が円滑に連携できない、しかしお金がかかる」という問題は、多くの企業が直面している現実的な課題です。


「連携していない」状態

AシステムからCSVを出し、人がExcelで編集・確認してBシステムへ取り込む流れを示した図
AシステムからCSVを出し、人がExcelで編集・確認してBシステムへ取り込む流れを示した図

「システム連携していない」状態とは、データのやり取りが一切行われていないのではなく、人手でデータを運んでいる状態です。

  1. AシステムからCSVを出力する
  2. Excelで開き、必要な列を編集し確認する
  3. Bシステムに取り込む、あるいは手入力する
  4. 転記ミスがないか確認する

これは立派な「データ連携」であり、連携処理を人間が担当している状態と言えます。

システム間で受け渡すことを想定して設計されたデータ項目は、想像より多く存在します。編集部が主要なシステムの「受け渡しの様式」を公式資料から調査したところ、以下の12システムだけでも187件の様式があり、そこで定義されている項目は合計12,542項目に上りました。

ここでいう「様式」とは、1種類ぶんの項目の並び順の定義です。画面の数でも、ファイルの実物の数でもありません。

なお、この187件のうちCSVの取込・出力は17件・669項目で、残りはe-Govの申請書XML構造定義やjGrantsの様式集(PDF)から抜き出した項目定義です。CSVであれXMLであれ申請様式であれ、「システム間で受け渡すために、あらかじめ項目の並びが決められている」という点は同じです。

漠然とした「二重入力の苦労」ではなく、これだけ多くの項目がシステム間を行き来する前提で作られているのです。


まず確認したい「動作環境」

「クラウド」と書かれていても、使う側のパソコンに何が要るかは決まっていません。

システム連携には、API以外にも方法がある

手段は API だけではありません。純正連携・CSV・iPaaS・画面操作(RPA)の 5 通りで、向いている場面が違います。

APIとは「住所と方法」の決まりごと

API(Application Programming Interface)を簡潔に定義するならば、**外部システムから、規定された手順でデータや機能を利用するための「窓口」**です。どこに要求するか(住所)と、どのように要求するか(方法)が規定されているからこそ、人間が画面を操作しなくともシステム間で自動的にデータの受け渡しが可能となります。

この章をもっと詳しく: REST・SOAP・JSON・XML・CRUD といった用語を業務の言葉に置き換え、56 件で実際にどの形式が使われているかを数えました → APIとは何か調べてみた


「APIはありますか?」だけでは質問として足りない

「API あります」の中身は、公開の度合いと契約の条件の 2 軸で分かれます。

純正連携とデータ変換

両方に API があっても、項目名の対応を誰かが決めなければ繋がりません。

「APIっていくらかかるの?」を分解して考える

費用は 3 層に分かれ、公開価格があるのは真ん中(つなぎ役)だけです。

データは安全か?

「安全か」は 4 つに分けて読みます — 渡す相手・通り道・置き場所・やめるとき。

APIを使えばずっと安定して動くのか?

作った後に起きることは 3 つ — 呼び出し回数の上限・仕様変更・障害です。

ベンダーとの交渉:「APIはありません」と言われたら

「ありません」には 6 通りの意味があり、API 以外の道は 5 つあります。

調べた範囲と、調べていないこと

対象は、編集部が一次調査を終えて公開していた 56 システムです。日本の業務システム全体ではありません。ここでの数字は 2026-08-21 の測定値で凍結してあり、出典 URL と調査日は 1 行ずつ EVIDENCE.md に置いてあります。調査記録はその後も増えているので、同じ問いを今の分母で数えると値が変わります — 各章の詳しい記事のほうが新しい分母で書かれています。



おわりに

ここではAPIという技術に対する疑問から調査を開始しましたが、課題の核心は「APIの知識」そのものではなく、

「自社の業務を、どのシステムと、どのように連動させるべきか」

という業務設計のレイヤーにあるという事実でした。 最初から「APIを使いたい」と考えるのではなく、「何を、どちら向きに、どのくらいの頻度で、どの精度でつなぎたいのか」から始める。 その結果、「純正連携で十分」「CSVで十分」「APIが必要」という答えが出てきます。

「APIが存在するか」ではなく、「どのデータを、どの手段を用いれば、無理なく連携できるか」。

システム連携を設計する際は、常にこの問いから出発すべきであると考えます。


参考にした資料について

ここでの執筆にあたり、以下の公的資料および各サービスの公式APIドキュメント・価格表・連携機能一覧等を参照しました。 また、公開中の56システムについて、APIの開かれ方、契約条件、認証方式、レート制限、CSV仕様などを横断的に調査しています。これらの調査結果はすべて公開情報を基準としており、「公開情報で確認できない」状態と「機能が実際に存在しない」状態は明確に区別して扱っています


調査対象の56システム(全件・公式ページ)
  1. Airワーク 採用管理
  2. ANDPAD
  3. board
  4. ケア樹
  5. CLIUS
  6. いえらぶCLOUD
  7. Comiru
  8. サイボウズ Office
  9. ダンドリワーク
  10. どっと原価
  11. e-Gov電子申請
  12. e内容証明
  13. e-Tax
  14. e-TUMO
  15. eLTAX / PCdesk
  16. formrun
  17. freee人事労務
  18. freee会計
  19. freee申告
  20. GビズID
  21. Garoon
  22. Google Classroom
  23. Google フォーム
  24. Google スプレッドシート
  25. Google Workspace
  26. Grafferスマート申請
  27. HubSpot
  28. いえらぶBB
  29. invox
  30. jGrants
  31. ジンジャー
  32. ジョブカン会計
  33. ジョブカン勤怠管理
  34. ジョブカン給与計算
  35. ジョブカン労務HR
  36. Jotform
  37. KING OF TIME
  38. kintone
  39. LoGoForm
  40. Microsoft Forms
  41. Misoca
  42. マネーフォワード クラウド会計
  43. マネーフォワード クラウド経費
  44. マネーフォワード クラウド給与
  45. マネーフォワード クラウド請求書
  46. マネーフォワード クラウド社会保険
  47. MOVO Berth
  48. 楽楽精算
  49. Salesforce Platform
  50. Salesforce Sales Cloud
  51. Shopify
  52. Slack
  53. SmartHR
  54. Yahoo!ショッピング ストアクリエイターPro
  55. 弥生(会計/青色申告 オンライン/Next)
  56. Zoho CRM

※ 一次調査を終えて公開している 56 件です。判断の元にした記述・出典URL・調査日は RenkeiMap に1件ずつ載せています。

編集履歴

  • 2026-08-22:手段の比較図を差し替え(◎○△の一覧)。iPaaS を手段の一つとして明記。認証方式(OAuth/APIキー)、連携を作った後に起きること、ベンダーへの聞き方を加筆。

この記事に登場するシステム(56)

ANDPADAirワーク 採用管理CLIUSComiruGaroonGoogle ClassroomGoogle WorkspaceGoogle スプレッドシートGoogle フォームGrafferスマート申請GビズIDHubSpotJotformKING OF TIMELoGoFormMOVO BerthMicrosoft FormsMisocaSalesforce PlatformSalesforce Sales CloudShopifySlackSmartHRYahoo!ショッピングZoho CRMboarde-Gov電子申請e-TUMOe-TaxeLTAX / PCdeske内容証明formrunfreee人事労務freee会計freee申告invoxjGrantskintoneいえらぶBBいえらぶCLOUDどっと原価ケア樹サイボウズ Officeジョブカン会計ジョブカン労務HRジョブカン勤怠管理ジョブカン給与計算ジンジャーダンドリワークマネーフォワード クラウド会計マネーフォワード クラウド社会保険マネーフォワード クラウド経費マネーフォワード クラウド給与マネーフォワード クラウド請求書弥生(会計/青色申告 オンライン/Next)楽楽精算

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