IT連携マップシステムどうしのデータ連携・接続仕様のまとめ

開発を手伝う AI に社内コードを渡してよいか — 「学習に使う」は契約形態で逆になる

導入前に決める最終更新 2026-09-21約 1,900 字

API でデータを外部に渡してよいかでは、渡す相手・通り道・置き場所・やめるときの 4 つに分けました。ここでは、渡すものがソースコードのときです。

「このツールは学習に使いますか」と聞かれて ○ × で答えられないのは、答える側が不誠実なのではなく、そもそも製品単位では決まっていないからです。


まず確かめるのは製品ではなく契約形態

コードをAIに読ませてよいかの書かれ方が分かれることを示した図。契約形態で逆になる、設定で切り替わる、規約に明記、記述が見当たらない
コードをAIに読ませてよいかの書かれ方が分かれることを示した図。契約形態で逆になる、設定で切り替わる、規約に明記、記述が見当たらない

編集部が AI エージェントに分類した製品の学習の扱いを調査記録から横に並べると、こうなります(記号や[詳細・原文を読む]をクリックすると原文・出典)。

比較項目:

システム情報セキュリティ
学習に使われるか(プライバシー)
Agentforce(エージェントフォース)
◎学習に使わないデータ保持ゼロ
Salesforce Trust Layer の「ゼロデータリテンション」により、プロンプトと生成された応答は保存されず、基盤となるサードパーティの大規模言語モデルのトレーニングにも使用されないと公式に記載されている。Agentforce 製品ページのFAQでも Einstein Trust Layer の機能として「データ保持ゼロ」が挙げられている。
ベンダー公表Salesforceが考える…()ほか 1 件
採取元: ゼロデータリテンションとデータマスキング(原文)・透明性がある(原文)・製品ページ FAQ「Agentforceの安全性について教えてください。」(「データ保持ゼロ」の原文)
調査日
Antigravity(Google)
○既定で学習に使うオプトアウト可
既定では使われる ベンダー公表
追加規約は、利用者の操作・入力等(Interactions)を Google および Alphabet の研究・製品・サービス・機械学習技術の評価、開発、改善に使うと定めており、Google の従業員および業務委託先が閲覧・レビューする場合があるとも書かれている。使われたくない場合は設定で変更する、という形のオプトアウトが案内されている。なお Google Cloud または Google Workspace の企業プラン経由で利用する場合は、この追加規約は適用されないと記載されている。
ベンダー公表Antigravity 追加…()
採取元: Antigravity 追加規約 第5節(原文引用)
調査日
Claude Code
○個人と法人で逆設定で切替
コンシューマー(Free・Pro・Max)はアカウント設定でモデル学習への利用可否を選べ、オンにするとClaude Codeからのデータも学習に使われ保持は5年、オフなら保持は30日となり、商用(Team・Enterprise・API)ではClaude Codeに送信したコードやプロンプトを生成モデルの学習に使わないと明記されています。 例外として、Development Partner Programに組織管理者が明示的にオプトインした場合は提供した資料が学習に使われる可能性があると記載されています。
ベンダー公表公式ドキュメント データ使用()ほか 2 件
採取元: 公式ドキュメント データ使用(原文引用)・消費者向け利用規約(原文引用)・商用利用規約(原文引用)
調査日
Claude Cowork
○個人と法人で逆オプトアウト可
claude.aiのアカウントで動くため、Free・Pro・Maxの個人契約ではアカウント設定でオプトアウトしない限り入力内容がモデル学習に使われ得る一方、Team・Enterprise・APIなどの商用契約ではCustomer Contentをモデル学習に使わないと規約に明記されています。 個人契約でも、フィードバックを送った場合と安全性レビューのためにフラグが立った場合はオプトアウトの対象外と記載されています。
ベンダー公表消費者向け利用規約/商用利用…()ほか 1 件
採取元: 消費者向け利用規約(原文引用)・商用利用規約(原文引用)
調査日
Cline(クライン)
◎学習に使わない提供元の AI に限る
Cline が用意したAIを使う場合、公式は「コードをモデルの学習に使うことはない」と明記しています。一方、利用者が自分のAPIキーを持ち込む場合は、Cline はその内容を取得せず、扱いを決めるのは接続先のAIモデル提供元です。公式プライバシー通知も、提供元によっては学習に使われる可能性があると述べています。
ベンダー公表公式 Enterprise …()ほか 1 件
採取元: 公式ページ・Cline Privacy Notice
調査日
Codex(OpenAI)
◎既定で学習に使わない法人向け
法人ワークスペース(ChatGPT Work)については組織の業務上の入力・出力を既定ではモデルの学習や改善に使わないと明記され、OpenAI APIに送信したデータも2023年3月1日以降は明示的にオプトインしない限り学習に使わないと記載されています。 個人向けプラン(Plus・Pro等)における学習利用の扱いについては、今回参照できた一次資料(learn.chatgpt.com/platform.openai.com)に記述が見当たらなかったため、本項目の記述対象は法人ワークスペースとAPIに限られます。
ベンダー公表公式ドキュメント ChatG…()ほか 1 件
採取元: 公式ドキュメント ChatGPT Work クラウドセキュリティ(原文引用)・OpenAI Platform データ管理(原文引用)
調査日
CrewAI(クルーAI)
△既定で学習に使う規約に明記
利用規約 1.5 で、利用者が入力したデータおよび出力(あわせて Customer Data と定義)について、サービス提供のほか「製品およびサービスの改善と開発(モデルやアルゴリズムの訓練・開発を含む)」と「集計化・匿名化データの作成」に使う権利を CrewAI に許諾すると定められている。プライバシーポリシーには、Google のユーザーデータについてのみ、広告や AI モデルの訓練には使わないと別途記載がある。
ベンダー公表利用規約 1.5 Licen…()ほか 1 件
採取元: 利用規約 1.5(原文)・プライバシーポリシー(原文)
調査日
Cursor
○設定で切替ゼロデータ保持
「Privacy Mode」を有効にするとCursorおよびモデル提供者は利用者のコードを学習に使わず(提供者とはゼロデータ保持契約を締結)、無効にするとコードベースやプロンプト、エディタ操作、コード断片などをAI機能の改善とモデル学習に使う場合があると明記されており、Enterpriseチームでは既定で有効です。 Privacy Modeは無料プランを含め誰でも設定から有効にでき、チームや組織の管理者が一括で有効化することもできると記載されています。有効時でも、規約違反検知の分類器に反応した場合は調査のためデータが保存されることがあると記載されています。
ベンダー公表Data Use & Pri…()ほか 1 件
採取元: Data Use & Privacy Overview(原文引用)・公式ドキュメント プライバシーとデータガバナンス(原文引用)・Data Use
調査日
Devin
△契約による規約に明記
プライバシーポリシーは、利用者のコンテンツをモデルの学習・ファインチューニング・改善に使う場合があると記載しており、その適用は「利用者に適用される契約条件による」としている。オプトアウトの手段はポリシー上に明示されておらず、EEA・英国の利用者については異議申立ての権利があるとだけ書かれている。法人プランで扱いが異なるかどうかも、このポリシーには書かれていない。
ベンダー公表プライバシーポリシー()
採取元: プライバシーポリシー 第2節(原文引用)・プライバシーポリシー 第2節 前置き(原文引用)
調査日
GitHub Copilot
○個人と法人で逆オプトアウト可
個人向けと法人向けで扱いが逆 ベンダー公表
個人向け(Free / Pro / Pro+ / Max)と法人向け(Business / Enterprise)で扱いが逆。個人向けは既定で入力・出力が AI モデルの開発・学習に使われ、アカウント設定でオプトアウトできる。法人向け(2026年3月版の GitHub Generative AI Services Terms が適用される契約)は「文書による指示がない限り学習に使わない」と定めており、既定で使われない。
ベンダー公表GitHub 利用規約 Se…()ほか 2 件
採取元: GitHub 利用規約 Section J.3(個人向け・原文引用)・GitHub 利用規約 Section J.3(オプトアウト・原文引用)・GitHub Generative AI Services Terms 第3条(法人向け・原文引用)・GitHub Copilot 製品ページ FAQ(個人向け・原文引用)・GitHub Copilot 製品ページ FAQ(個人向けの切り方・原文引用)・GitHub Copilot 製品ページ FAQ(法人向け・原文引用)
調査日
Hermes Agent(ヘルメス・エージェント)編集部がまだ確認していません
Kiro(AWS)
○個人と法人で逆設定で切替
契約形態で扱いが分かれる ベンダー公表
Free Tier と、ソーシャルログインまたは AWS Builder ID で使う個人サブスクリプション利用者のコンテンツ(質問・入力・生成されたコードなど)は、既定でサービス改善に使われる。IDE の設定(Settings → User → Application → Telemetry and Content)で「Data Sharing and Prompt Logging: Content Collection for Service Improvement」のチェックを外せばオプトアウトできる。エンタープライズ利用者(IAM Identity Center 等での認証)のコンテンツはサービス改善に使わないと明記されている。なお Free Tier の入力は、オプトアウトした場合でも不正利用検知の目的で最大60日間保持される。
ベンダー公表公式ドキュメント データ保護()
採取元: 公式ドキュメント データ保護(原文引用)
調査日
Manus(マヌス)
―
公式文書に「AIモデルの学習に使う/使わない」を直接述べた条文は見当たりません。規約は、入力・出力を含む利用者コンテンツについて、集約した形でサービスを改善するための永続的・取消不能なライセンスを会社に与えると定めています。またプライバシーポリシーは、入力・プロンプト・ユーザー作成コンテンツを「サービスの改善と分析」および「研究開発/集計・非識別化・匿名化データの作成」に、正当な利益を根拠として使用し得ると記載しています。加えて規約は、第三者AIプロバイダーが利用者コンテンツの秘密保持を義務づけられない場合があり、当該コンテンツを使用・開示する権利を保持し得ると明記しています。学習利用に対するオプトアウト手段の記載は確認できませんでした。
編集部まとめ出典()
採取元: 公式ページ
調査日
OpenClaw(オープンクロー)
◎学習に使わない手元で動く
OpenClaw は利用者自身の端末で動くソフトウェアで、公式資料に「入力を学習に使う」という記述はありません(学習に使う運営主体が存在しない構造です)。会話履歴・認証情報・ツールの作業ファイルはすべて利用者の端末のローカル領域に保存されます。重要 ただしモデルへ送られた内容の扱いは、利用者が持ち込んだAPIキーの発行元、すなわちAIモデル提供元のポリシーで決まります。学習に使われるかどうかは OpenClaw ではなくそちらを確認する必要があります。
ベンダー公表公式ドキュメント セキュリテ…()
採取元: 公式ページ
調査日

◎ 条件なしで当てはまる ○ 条件つき・一部 △ 限定・要申請・無いと明記 × 当てはまらないと明記 ? 編集部がまだ確認していません ― 提供元が公開していない(編集部が調べた) — 記号は編集部の札から機械で付けています。物差しは項目ごとに違い、列の見出しがその項目の意味です。札の意味と根拠は各セルの要約を押すと出ます。

材料の調査日(最新): 2026-09-05

並べて読むと、書かれ方が 6 通りに分かれます。 どれも「学習に使う/使わない」の 2 択では書かれていません。

書かれ方 何が決め手になるか 例
既定で使う 設定で変えられるか、誰が変えられるか Antigravity
個人と法人で逆 いま自分がどちらの契約か GitHub Copilot
設定で切り替わる 既定がどちらか。企業向けだけ既定が違う場合がある Cursor
法人向けは既定で使わない その既定が契約書に書かれているか Claude Code・Codex
規約に使うと明記 明記されているので、入れる情報の線を引く CrewAI
記述が見当たらない 問い合わせる項目にする。「無い」ではない Manus

2 行目が一番よく誤解されます。同じ GitHub Copilot でも、個人向けの規約には入力と出力を機械学習の開発と改善に使うライセンスを与えると書かれ、法人向けの規約には次のように書かれています。

GitHub は、入力と出力を生成 AI モデルの学習には使わない。文書で指示した場合を除く。

GitHub Copilot 学習に使われるか(プライバシー)

つまり「Copilot は学習に使うのか」という問いには答えがありません。 答えがあるのは「うちが契約しているのはどちらか」という問いです。

3 行目も同じ形です。Cursor は設定を有効にすると学習に使わず、無効にするとコードやプロンプトを改善と学習に使う場合があると書き、そのうえで企業向けのチームでは既定が有効だと書いています。既定がどちらかは、契約の種類で変わります。

「道具が学習しない」と「渡した先が学習しない」は別

自分の端末で動く型の道具には、学習に使う運営主体がいません。調査記録の OpenClaw の欄には、会話履歴や認証情報がすべて利用者の端末に保存されると書かれています。ここで話を終えると危険です。

何を確かめるか 端末で動く型の場合
道具の運営元が学習に使うか 主体がいないので、使われない
モデルに送った内容が学習に使われるか 持ち込んだ鍵の発行元、つまりモデル提供元の方針で決まる
送った内容が端末に残るか 残る。作業ファイルも履歴も端末の中

鍵を持ち込む型では、道具の方針をいくら読んでも答えは出ません。 読むのはモデル提供元の方針です。同じ道具でも、どの提供元の鍵を入れたかで結論が変わります。

コードに何が混ざっているか

判断の対象は「コード」ではありません。コードに混ざっているものです。

混ざりやすいもの なぜ効くか
鍵・トークン・接続文字列 学習の可否とは別に、渡した時点で漏れの経路が増える
顧客名・取引先名 試験データやコメントに実名が残る。個人情報の扱いに移る
未公開の仕様・価格 秘密保持の対象になっていることがある
他社から預かったコード 自社の判断だけでは決められない

調査記録の OpenClaw の欄には、作業の記録に貼り付けた秘密やファイルの中身、コマンドの出力が入りうるとも書かれています。混ざっているものを数えてから、渡すかどうかを決めてください。

こう決める — 確かめる順

順 手順 こう判定する
1 いま社内で使っている契約形態を数える(個人契約・法人契約・企業向け契約) 個人契約が混ざっていたら、そこだけ扱いが逆の可能性がある。先に数える
2 その契約形態の規約で、学習の扱いを読む 契約形態の指定が無い説明は判断材料にしない。調査記録の欄は原文と調査日つき
3 設定で切り替わる型は、既定と、誰が変えられるかを決める 利用者が各自で変えられる型は、既定が有効でなければ社内規程で縛る
4 鍵を持ち込む型は、モデル提供元の方針を読む 道具の方針だけで結論を出さない。提供元ごとに結論が変わる
5 渡すコードに混ざっているものを数え、入れない線を引く 鍵と他社から預かったコードは、学習の可否と無関係に除く

5 番目は学習の話とは別の理由で必要です。 学習に使われないと確かめられた道具でも、鍵を渡してよいことにはなりません。社内の規程にこの線をどう書くかは 社内の AI 利用規程に何を盛り込むか に、学習の 3 つの経路そのものは 学習に使われるとは何か に置きました。

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