第三者認証は何を保証しているのか — 規格の種類・名義・範囲・プランを読む
「ISO 27001 を取得しています」と言われて安心したあと、何が保証されたのかを聞かれて答えられないことがあります。認証が見ているのは仕組みで、個々の機能ではありません。
規格ごとに、見ているものが違う
| 規格・制度 | 見ているもの |
|---|---|
| ISO/IEC 27001(ISMS) | 情報を守る仕組みが決められ、運用され、見直されているか |
| ISO/IEC 27017 | 上に加えて、クラウドに固有の管理策 |
| SOC 2 | 統制の設計と運用について、監査人が出す報告書 |
| プライバシーマーク | 個人情報の取扱いの体制 |
この 4 つはどれも「製品のこの機能が安全だ」とは言っていません。 だから「認証があるから、この機能にデータを入れて大丈夫」という使い方はできません。使えるのは「仕組みを持っている会社かどうか」の判断までです。
ISO 9001 は品質の規格で、情報セキュリティの認証ではありません。調査記録には、品質の規格の審査登録だけが公開されていて、情報セキュリティの認証は見当たらないツールもあります(Waha! Transformer)。
読むのは 4 か所
| 読むところ | 何を見るか | 調査記録で見つかる形 |
|---|---|---|
| ① 規格の種類 | 情報セキュリティの規格か、品質の規格か | 品質の規格だけが掲げられている例がある |
| ② 名義 | 製品の認証か、会社の認証か | 提供元の認証で、販売代理店のものではないと明記された例がある |
| ③ 登録範囲 | 認証の対象が、その製品を含むか | 「ETL サービスの開発」のように範囲の文が公開されている例がある |
| ④ 対象プラン | すべてのプランか、上位プランだけか | ISO の認証が Enterprise プランと書かれている例がある |
②が一番見落とされます。 調査記録の アシロボ の欄には、認証が提供元の会社のもので、販売している会社のものではないと書かれています。Make の欄では、ISO の認証の名義が製品名とは別の会社名で表示されていることが書かれています。Bindit の欄には、サービス個別の認証は見当たらず、会社としてプライバシーマークと品質の規格を持っていると書かれています。
③は、読めれば決め手になります。認証の登録範囲は「何の業務について認証を受けたか」を書いた文で、そこに対象の製品や事業が書かれています。範囲の文が公開されていれば、その製品が対象に入っているかを自分で確かめられます。
連携ツールの第三者認証の欄を調査記録から横に並べると、こうなります(記号や札をクリックすると原文・出典)。
比較項目:
| システム | 情報セキュリティ |
|---|---|
| 第三者認証 | |
| ActRecipe | ISO/IEC 27001認証、ISO/IEC 27017認証、電子決済等代行業者 ISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)認証、ISO/IEC 27017(クラウドセキュリティ)認証、電子決済等代行業者 登録番号は公式トップにもコーポレートサイトにも書かれていない(認証名のみ)。電子決済等代行業についてはコーポレートサイトのフッタに項目がある。 2026-08-11 追記 セキュリティホワイトペーパー 1.6 版 §18 に、認定機関と登録範囲まで書かれていた — (末尾の 1 は脚注番号で、脚注は https://isms.jp/lst/ind/)。クラウドセキュリティ側も同じ文型で「ISMSクラウドセキュリティ認証2を取得しています。」登録範囲は「「ActRecipe」の提供に係るクラウドサービスプロバイダとしてのシステム開発・運用・保守、及びアマゾンウェブサービスのクラウドサービスカスタマーとしての利用に係る ISMSクラウドセキュリティマネジメントシステム」。登録番号は同 PDF にも無い。 |
| Anyflow Automation | |
| Anyflow Embed | ISMS(JIS Q 27001:2014(ISO/IEC 27001:2013))/認証登録番号 IS 751085 |
| ASTERIA Warp | ― 確認したもの: 製品トップ・ラインナップ・価格・FAQ・動作環境・オプション機能一覧・アダプター個別ページ 71 件に加え、【2026-08-11】ASTERIA Warp Cloud 利用規約 と 公式オンラインマニュアル(製品ドキュメント一覧・フローサービス管理コンソール ヘルプ)を ISMS / ISO 27001 / P マーク / ISMAP / SOC2 で確認したが、認証名・登録番号の記載は無い。サポートサイト(support.asteria.com)の記事一覧 1,578 本の題名にも該当語は無い。 調査日 |
| AUTORO | 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格「ISO27001:2013」の認証を取得。 認証登録番号・認証機関・有効期限は公開されていない。なお /isms/ という URL のページは認証情報ではなく「情報セキュリティ方針」(行動指針・2019年3月20日制定/2022年8月1日最終改訂)で、認証番号の記載は無い。 |
| bindit | サービス個別の認証は見当たらない ベンダー公表 サービス個別の ISMS/ISO 27001 認証は見当たらない 提供会社の株式会社ユニリタとしては、① JIPDEC のプライバシーマーク付与認定事業者(初回登録日 2006年4月4日/前回更新日 2024年4月4日)、② ISO9001:2015(品質マネジメント。審査登録機関 DNV – Businnes Assurance/認定スキーム RvA/登録番号 C707774/初回登録 1999年2月25日/有効期限 2029年2月25日)を公開している。 P マークの登録番号は本文に書かれていない(ページにはマーク画像があるだけ)。ISO9001 の登録範囲は「パッケージソフトウェアおよびクラウドサービスの開発と運用、顧客サポート」で、対象製品の列挙に bindit の名は無く、bindit を載せている基盤の「CloudGear」が挙がっている。ISO9001 は品質の規格であって情報セキュリティの規格ではないので、ISMS の代わりにはならない。前回 「公開されていない」 としたのは bindit.jp ドメイン内しか見ていなかったため。 |
| BizteX Connect | ISO/IEC 27001:2022 / JIS Q 27001:2023(ISMS) 認証登録番号 IS 684963。認証機関 BSIグループジャパン株式会社。有効期間発効日 2024年3月28日〜有効期限日 2027年3月27日。認証登録範囲は「業務自動化支援サービスの開発、提供、導入支援及びカスタマーサポート」。初回取得は2018年3月28日付。 編集部が調べた中でこの社だけが認証登録番号・認証機関・有効期限まで公開している。 |
| Datable | ISO/IEC 27001/登録番号 IS 788936 ベンダー公表 ISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)/登録番号 IS 788936 前回は /security の本文が読めず 「未確認」 としたが、認証はトップページのフッタに出ていた。 「※当社はISO/IEC27001(情報セキュリティマネジメントシステム)を取得しています。なお登録サイトは弊社代表取締役の自宅となっておりますが、個人情報につき公表は控えさせて頂きます。」なお /security(情報セキュリティ基本方針、制定日 2023年4月10日)は 5 項目の一般的な方針文で、認証名も番号も書かれていない。 |
| Dify(ディファイ) | 編集部がまだ確認していません |
| HULFT Square | 情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格 ISO/IEC27001:2013 認証を取得 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格 ISO/IEC27001:2013 認証を取得(株式会社セゾンテクノロジーとして)。 認証番号・登録番号は公開資料に記載が無い。会社概要には別途「適格請求書発行事業者登録番号: T7013301005882」「一般派遣事業者(許可番号【派13-308371】)」の記載があるが、これらは情報セキュリティ認証ではない。 |
| IIJクラウドデータプラットフォームサービス | ISO/IEC 27017 に即した提供・ISMAP 登録・GDPR / APEC 適合証明 クラウドセキュリティ認証 ISO/IEC 27017:2015 に即した提供(第三者機関の証明)、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)に登録、クラウド事業者(IaaS)として GDPR と APEC プライバシー保護基準の双方への適合証明 いずれも基盤である自社クラウド「IIJ GIO」についての記載。登録番号は本ページには書かれていない。 |
| JENKA | ― 確認したもの: JENKA サイト全ページとスターティアテクノスの情報セキュリティ基本方針 に加えて、2026-08-11 にヘルプセンター全区分を確認した。ISMS・ISO 27001・P マーク・ISMAP・SOC2 の認証番号や取得の記載は無い。近いのは「セキュリティチェックアンケートの協力は依頼できますか?」という記事で、原文「経済産業省「クラウドサービスレベルのチェックリスト」に基づいた回答をご用意しています。」とあり資料が配布されるが、これは第三者認証ではない(資料本体はダウンロード操作が要るため取得していない)。 調査日 |
| JOINT iPaaS for SaaS | ? 調査中 — この項目はまだ調査しきれていないため、調査完了までお待ちください。(詳しくは【詳細・出典】) ベンダー公表JOINT iPaaS 公式…()
JOINT iPaaS 公式サイト 確認したもの: joint-data.com は本文を JS で描画する殻(トップページの可読文字は 42 字・2026-08-11 確認)。sitemap 全 10 本を確認したが、料金・会社案内・認証取得に当たるページが無い。コネクタとヘルプの公開 JSON からは連携先と操作だけが読める。 調査日 |
| Magic xpi | ― 確認したもの: 会社概要と「情報セキュリティ基本方針」(2017年3月制定)に加え、【2026-08-11】技術情報サイト DEVNET Japan の各ページを確認したが、ISMS・ISO27001・Pマーク等の認証名や登録番号の記載は無い。 調査日 |
| Make(メイク) | 編集部がまだ確認していません |
| n8n | 編集部がまだ確認していません |
| Qanat Universe | ― 確認したもの: 製品ページに本文が無い。会社全体の認証は確認していません。 調査日 |
| Reckoner | ISO/IEC 27001:2013 / JIS Q 27001:2014 ISO/IEC 27001:2013 / JIS Q 27001:2014(登録組織: 株式会社スリーシェイク、認証登録番号 IS 752246、登録日 2021年10月6日) 登録範囲に「ETL(Extract、Transform、Load)サービスの開発・運用」が含まれる。ISMAP・SOC2・P マークの記載は無い。 |
| SaaStainer by JOINT | ― 確認したもの: ストア(saastainer.com)と運営会社の紹介ページを確認した範囲に、第三者認証(ISMS 等)の記載は無い。 調査日 |
| TROCCO | ISO/IEC 27001:2022 に準拠した ISMS を取得。SOC2 Type2 報告書を受領。 認証番号・登録番号は公開ページに記載が無い(規格名と取得の事実のみ)。 |
| Waha! Transformer | ISO9001:2015(品質マネジメントシステム)の審査登録 登録番号 C707774、審査登録機関 DNV – Businnes Assurance、認定スキーム RvA、初回登録 1999年2月25日、有効期限 2029年2月25日。登録範囲は「パッケージソフトウェアおよびクラウドサービスの開発と運用、顧客サポート」で、対象製品の一覧に Waha! Transformer が明記されている これは品質(ISO9001)であって情報セキュリティの認証ではない。ISMS / ISO27001 / P マーク / ISMAP / SOC2 の記載は、製品サイトの各ページ(第1回に全文検索済)とユニリタ企業情報の ISO9001 ページのいずれにも無い。なおユニリタのサイトマップには security-policy.html というページがあるが、今回は開いていないため内容は不明。「以下の製品およびクラウドサービスは、認証を受けたシステムのもとに開発、」「提供、保守しています。」の一覧に Waha! Transformer がある。 |
| Yoom | ― 編集部まとめ出典()
セキュリティへの取り組み(Notion・公開) 確認したもの: ISMS(ISO/IEC 27001)・ISMAP・SOC2・Pマークいずれの取得記載も、セキュリティポリシーページ・「セキュリティへの取り組み」(Notion)・製品トップ・会社案内に無い。代わりに置かれているのは「最新のセキュリティチェックシート」(Google スプレッドシートへのリンク)で、これは認証ではなく自己申告の回答集である。 調査日 |
◎ 条件なしで当てはまる ○ 条件つき・一部 △ 限定・要申請・無いと明記 × 当てはまらないと明記 ? 編集部がまだ確認していません ― 提供元が公開していない(編集部が調べた) — 記号は編集部の札から機械で付けています。物差しは項目ごとに違い、列の見出しがその項目の意味です。札の意味と根拠は各セルの要約を押すと出ます。
材料の調査日(最新): 2026-09-07
「準拠」と「認証」は別の言葉
| 書かれ方 | 意味 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 認証を取得 | 審査機関の審査を受けて登録されている | 認証番号・登録範囲・有効期限が公開されているか |
| 準拠・対応 | その基準に沿って運用していると自分で述べている | 監査を受けているか、報告書が出るか |
| 報告書を提供 | 監査人の報告書がある。開示は契約や秘密保持が前提の場合がある | 誰が請求できるか、どのプランか |
調査記録には、セキュリティの取り組みを SOC 2 に沿わせていると書き、年次の監査を受けていると説明しているツールがあります(n8n)。これは認証の取得とは違う表現です。どちらが優れているという話ではなく、確かめ方が違うという話です。
認証番号が公開されているかどうかも手がかりになります。調査記録では、番号と認証機関と有効期限まで公開されているものと、規格名と取得の事実だけが書かれているものが分かれています。番号が無いことは不正の証拠ではありませんが、範囲を自分で確かめられるかどうかが変わります。
AI ツール側の情報セキュリティの欄も同じ形で並べてあります。
比較項目:
| システム | 情報セキュリティ |
|---|---|
| 情報セキュリティ | |
| ChatGPT | Business・Enterprise プランで SOC 2 Type 2 コンプライアンス、ISO 27001・27017・27018・27701 の認証取得と記載されている。 認証番号の記載は確認できていない。 |
| Claude | トラストセンターの一覧で、Claude Team・Claude Enterprise・API 経由の Claude について SOC 2 Type 2、ISO 27001、ISO 42001、CSA STAR、NIST 800-171 が該当と示され、Claude Enterprise と API では HIPAA も該当とされている。詳細な証跡は「Request access」で申請する。 認証番号の記載は確認できていない。 |
| DeepSeek | 編集部がまだ確認していません |
| exaBase 生成AI(エクサウィザーズ) | FAQ は取得認証として「ISO27001認証(情報セキュリティマネジメントシステム)」「プライバシーマーク」を挙げている。製品ページには「exaBase 生成AI は クラウドサービスプロバイダとして、ISMSクラウドセキュリティ認証を取得しています。」「株式会社Exa Enterprise AI は ISMS 認証と PIMS 認証を取得しています。」と記載。アクセス制御としては IP アドレス制限、シングルサインオン(SSO)対応、監査ログ機能が挙げられている。 認証番号の記載は今回参照したページでは確認できなかった。 |
| Felo(フェロー) | 編集部がまだ確認していません |
| Gemini | Google Workspace のセキュリティページに「Google は、セキュリティ、プライバシー、コンプライアンスに対する独立した第三者機関による複数の監査を定期的に受けています」と記載があり、FedRAMP、CJIS、DoD、HIPAA、ISO/IEC などが挙げられている。 個々の認証番号や ISO の規格番号までは当該ページで確認できていない。 |
| Genspark(ジェンスパーク) | SOC 2 Type II および ISO 27001:2022 の認証を取得していると公式に記載。 Trust Center(https://trust.genspark.ai/)で管理策の一覧と資料を公開。機微な文書の開示は Enterprise 顧客かつ NDA が前提と案内されている。 |
| Grok | 料金ページは全プランに「SOC 2 compliance (Type I & II)」と記載。法人向けプランには Single Sign-On (SSO)、Directory Sync (SCIM)、Advanced audit controls、Customer-managed encryption keys、Dedicated data plane が掲げられている。公式に BAA と DPA のページが用意されている。 |
| Microsoft 365 Copilot | Microsoft Learn のプライバシー文書に、GDPR、ISO 27001、HIPAA、AI マネジメントシステムの ISO 42001 など幅広いコンプライアンスサービスと認定を提供すると記載され、ISO/IEC 27018 への準拠にも言及がある。テナント間の論理的分離は Microsoft Entra 承認とロールベースのアクセス制御で実現し、保存中・転送中の暗号化に BitLocker、ファイルごとの暗号化、TLS、IPsec を用いると記載されている。 認証番号の記載は確認できていない。 |
| NotebookLM(現在の表記は Gemini Notebook) | 編集部がまだ確認していません |
| Ollama(ローカル実行) | 編集部がまだ確認していません |
| Perplexity | 法人向けページおよび料金ページに「SOC 2 Type II Certified」と記載があり、Enterprise Pro / Enterprise Max は「SOC 2 Type II、HIPAA、GDPR、PCI DSS準拠」と表示されている。セキュリティ体制・認証・再委託先一覧は Trust Center(trust.perplexity.ai)で公開。 |
| tsuzumi(NTT) | 編集部がまだ確認していません |
◎ 条件なしで当てはまる ○ 条件つき・一部 △ 限定・要申請・無いと明記 × 当てはまらないと明記 ? 編集部がまだ確認していません ― 提供元が公開していない(編集部が調べた) — 記号は編集部の札から機械で付けています。物差しは項目ごとに違い、列の見出しがその項目の意味です。札の意味と根拠は各セルの要約を押すと出ます。
材料の調査日(最新): 2026-08-26
こう決める — 認証をどう使うか
| 順 | 手順 | こう判定する |
|---|---|---|
| 1 | 預けるデータの区分を先に決める(個人情報を含むか、取引先の情報を含むか) | 個人情報を含むなら、個人情報を見る制度も確かめる。含まないなら情報セキュリティの規格だけで足りる |
| 2 | 掲げられている規格の種類を読む | 品質の規格だけなら、情報セキュリティの判断材料にはならない |
| 3 | 名義を読む。製品の認証か、会社の認証か、提供元の認証か | 名義が違う場合は、その会社が何を運用しているのかまで戻って読む |
| 4 | 登録範囲を読み、その製品が対象に入っているかを確かめる | 範囲が公開されていなければ「確認できない」と書いて問い合わせる項目にする |
| 5 | 対象プランを確かめる | 上位プランだけが対象なら、契約するプランを合わせるか、判断材料から外す |
認証は入口の確認で、出口の確認ではありません。 預けたデータがどこに置かれるか、やめるとき持ち出せるかは別の欄です(データはどこに置かれるか・やめるとき持ち出せるか)。