「学習に使われる」の 3 つの経路 — 再学習・人が読む・保存される
「学習に使われる」という一言には、性質の違うことが混ざっています。まず経路を分けます。
3 つの経路と、① の中の 3 段階
| 経路 | 何が起きるか | 学習か |
|---|---|---|
| ① 再学習される | 入力がモデルの「重み」という数値のかたまりに変換されて取り込まれる | 学習 |
| ② 人が読む 👀 | 提供元の従業員や委託先が、品質確認などのために内容を目で読む | 学習ではない |
| ③ 保存される 💽 | 学習に使うかどうかとは別に、データが残る・第三者に出されうる | 学習ではない |
① だけが「モデルに覚えさせる」話で、その中にさらに 3 つの段階があります。事前学習 📖 はモデルを最初に作るときに公開文書を大量に読ませる段階で、利用者の会話がここに入ると書いた規約は見つかりません。追加学習 ➕ はできあがったモデルに利用者の入力や修正結果を追加で覚えさせる訓練で、規約の「学習に使う」はふつうこれを指します。選好チューニング 👍 は回答の良し悪しを人の評価から学ぶ仕上げの段階で、画面の 👍/👎 で送った評価とそのときの会話が対象になる型が多くあります(Claude の規約がこの型です)。
② 人が読む は学習ではありませんが、「バレる」という心配にいちばん近い経路です(Gemini は人のレビューがあると明記しています)。③ 保存される は学習を止めても別に続きます(Perplexity は学習利用を止めても保存は続くと書いています)。
まとめると、① と ②③ は連動しません。「学習には使わない」と書いてある製品でも保存はされ、人が読む場合もあります。どの製品がどの経路をどう書いているかは、RenkeiMap の AI ツール一覧 の学習利用・保管場所の欄に原文と出典つきで置いてあります。
① の中を、段ごとに開く
① の 3 段階は、規約の書き方も止め方も段ごとに違います。段ごとに何が書かれていて、設定を切ったときにどの分に効くのかは、次にまとめました。
調査記録で確かめる
経路の話は、規約の欄と保管場所の欄に出ます。ChatAI の 2 列を並べます。
比較項目:
| システム | 情報セキュリティ |
|---|---|
| 学習に使われるか(プライバシー) | |
| ChatGPT | ○個人と法人で逆オプトアウト可 個人向け(ChatGPT の無料版・Go・Plus・Pro など)は既定で会話がモデルの学習に使われ、プライバシーポータルまたは設定からオプトアウトできる。法人向け(ChatGPT Business・ChatGPT Enterprise・API)は既定で入力・出力とも学習に使われない。なお一時チャット(Temporary Chat)は学習に使われず、オプトアウト後でもフィードバック(高評価・低評価)を送った会話は学習に使われる場合がある。 |
| Claude | ◎既定で学習に使わない個人と法人で逆 法人向けは既定で入力・出力ともモデルの学習に使われない ベンダー公表 法人向け(Claude for Work=Team・Enterprise、Anthropic API など)は既定で入力・出力ともモデルの学習に使われない。個人向け(Free・Pro・Max、およびそれらのアカウントでの Claude Code)は、利用者が設定で許可した場合、安全性レビューで会話がフラグされた場合、その他明示的にオプトインした場合にモデル改善へ利用されると記載されており、設定は「Help Improve our AI models」のトグルでいつでも切り替えられる。シークレットチャット(Incognito)はモデル改善に使われない。高評価・低評価のフィードバックを送った会話は、会話全体が最長5年間保存され学習に使われる場合がある(Team・Enterprise では管理者がフィードバック送信自体を無効化できる)。コネクタ(Google Drive、リモート/ローカル MCP サーバーを含む)の生データは学習対象に含まれない。 利用規約(Effective October 8, 2025)は「オプトアウトしない限り学習に使う」と書き、プライバシーセンターの記事は「あなたが許可したら使う」と書く。どちらもベンダー自身のページで、拘束力を持つのは規約の方。どちらかを選んで片方を捨てない — 両方を出典つきで併記する。既定値そのものを名指しで述べた文は、どちらのページにも無い(2026-09-14 確認)。 ベンダー公表Anthropic プライバ…()ほか 3 件
採取元: 個人向け製品(Free・Pro・Max)についての記事・法人向け製品についての記事・料金ページ Team プランの記載(日本語)・Anthropic 消費者向け利用規約 Our use of Materials(原文引用)・同上(原文引用・オプトアウトしても残る 2 つ)
調査日 |
| DeepSeek | ○既定で学習に使うオプトアウト可 個人向けのウェブ版・アプリでは、入力したデータが機械学習モデルの訓練および改善に使われる旨がプライバシーポリシーに明記されている(既定で利用される)。同ポリシーには、モデル訓練または技術最適化のための個人データ利用を拒否する権利があることも記載されている。利用規約 4.3 は、暗号化・匿名化を前提に最小限の範囲でインプットとアウトプットを基礎技術の開発・改善に使うことがあると定めている。 API(開発者向け)の利用規約(Release date 2026年4月22日/Effective date 2026年4月29日)には、入力・出力を学習に使うか否かを明示した条項を確認できなかった。規約・プライバシーポリシーは日本語版(cdn.deepseek.com/policies/ja-JP/)と英語版(同 en-US)が併存しており、引用は日本語版から採った。 |
| exaBase 生成AI(エクサウィザーズ) | ○原則は学習に使わない全モデルは保証外 法人向けサービスとして、入力したデータは原則として生成AIモデルの学習には使われないと FAQ に記載されている。ただし全ての生成AIモデルについて保証するものではない、という但し書きが同じ回答に付いている。製品ページにも「モデル学習への情報提供も遮断」と記載がある。 個人向けプランの案内はなく、法人向けとして提供されている。オプトアウトの手段や既定値の設定について述べた記述は、今回参照した公開ページでは確認できなかった。利用規約の公開ページも確認できず、記載はいずれも製品ページと FAQ による。 |
| Felo(フェロー) | ○明示同意が要る法人向け 法人向け「Felo Enterprise」のプライバシーポリシーは、利用目的の一つに「機械学習による人工知能(AI)開発および改善」を挙げたうえで、ユーザーコンテンツ(入力プロンプト・アップロードファイル・その回答)については明示的な同意がある場合を除き AI モデルの学習データとして利用しない、と明記している(既定は OFF、同意でのみ ON)。法人向け紹介ページにも「We do not use enterprise customer data to train our AI models.」と記載がある。個人向けプライバシーポリシー(最終更新日 2025年5月13日)では、利用目的として「サービスの改善および調査」「新しいプログラムやサービスの開発」が挙げられており、学習利用の可否を明示した条項が置かれているのは Google ユーザーデータについてのみで、そこでは学習利用を明確に否定している。なお個人向けポリシーは「当社のAPIなどのビジネス提供の顧客のために処理するコンテンツには適用されません」と適用範囲を限定している。 |
| Gemini | ○既定で学習に使うオプトアウト可 個人向けの Gemini アプリでは、「Gemini アプリ アクティビティ」がオンの場合、チャットや共有した内容がアクティビティに保存され、Google のサービス(生成 AI モデルや機械学習技術を含む)の維持・改良のために人間のレビュアーによるレビューを伴って利用される。設定をオフにすると、今後のチャットは AI モデルのトレーニングに使用されず、72時間だけ保存される(ユーザー自身がフィードバックを送信した場合を除く)。オンの場合のアクティビティは18か月後に自動削除され、3か月・36か月・自動削除なしに変更できる。一方、Google Workspace の Gemini では、顧客データは事前の許可や指示がない限りモデルのトレーニングに使用されず、人間によるレビューも行われないと明記されている。 ベンダー公表Gemini アプリのプライ…()ほか 1 件
採取元: Gemini アプリのプライバシー ハブ(個人向け)・Gemini アプリのプライバシー ハブ(設定オフ時)・Google Workspace における生成 AI のプライバシー ハブ(法人向け)
調査日 |
| Genspark(ジェンスパーク) | ◎既定で学習に使わない法人向け Team / Enterprise プランは、アカウントが既定でモデル学習からオプトアウトされると公式ヘルプセンターに明記されている。データ処理契約(DPA)に基づき、プロンプトと作成物は Genspark のモデル学習に使われず、再委託先(OpenAI・Anthropic・Google)とも no-training 契約を結んでいるとしている。プライバシーポリシーには、Google Workspace API 経由で取得したデータを汎用的な AI / ML モデルの開発・改善・学習に使わないことが別途明記されている。 ベンダー公表ヘルプセンター Team &…()ほか 1 件
採取元: ヘルプセンター Team & Enterprise Plans(原文)・プライバシーポリシー Third Party Services(原文)
調査日 |
| Grok | ○設定で切替未ログインは対象 個人向けは、ログインして使う場合、入力・出力(User Content)を製品改善とモデル学習に使ってよいかどうかを利用者が設定で選べると規約が定めている。一方、ログインせずに使う場合は、提供したデータを製品開発とモデル学習に使う完全な権利を付与する、と明記されている。法人向け Enterprise 規約は、SpaceXAI は User Content を基盤モデルや大規模言語モデル等の学習に使わず、新しい製品・サービス・機能の開発にも使わないと定めている。料金比較表でも「No training」は法人向けプラン側の項目として掲げられている。 個人向けについて、この設定の既定値が ON か OFF かを明示した記述は、確認した規約本文には見当たらなかった(「選べる」とだけ記載)。削除を要求した User Content と Private Chat は削除待ちの列に入り最大 30 日かかるとされる。法人向けでは User Content はセッション終了後 30 日以内に自動削除、さらに Zero Data Retention(ZDR)対応 API を選ぶと応答返却または推論完了 1 時間後の早い方で削除される。規約は英語版のみを確認しており、日本語版は確認できなかった。 ベンダー公表利用規約(消費者向け)Use…()ほか 1 件
採取元: 利用規約(消費者向け)User Content・Terms of Service - Enterprise, CUSTOMER OBLIGATIONS; DATA(User Content)・Terms of Service - Enterprise, Deletion and Retention of User Content
調査日 |
| Microsoft 365 Copilot | ◎学習に使わない基盤モデルに使わない プロンプト、応答、および Microsoft Graph 経由でアクセスされるデータは、基盤となる LLM のトレーニングには使用されないと明記されている。保存される対話履歴(プロンプトと応答)も同様に基盤 LLM のトレーニングには使われず、保存中は暗号化される。任意のカスタマーフィードバックは Copilot の改善に使われる場合があるが、それも基盤 LLM のトレーニングには使用されず、管理者がフィードバック機能を管理できる。Azure OpenAI には人間によるレビューを含む不正使用の監視があるが、Microsoft Copilot サービスはそれをオプトアウトしていると記載されている。 ベンダー公表Microsoft Lear…()
採取元: 同文書 冒頭「重要」・同文書「独自の組織データがどのように使用されますか?」・同文書「接続エクスペリエンスのための Microsoft Copilot とプライバシー コントロール」
調査日 |
| NotebookLM(現在の表記は Gemini Notebook) | ◎既定で学習に使わない個人版も対象外 個人アカウントでは既定で学習に使われず、利用者がフィードバックを送った場合に限り、そのやり取りの全容(クエリ・アップロード・回答)を Google が確認することがある。Google Workspace / Workspace for Education では、アップロード・クエリ・モデルの回答が人間のレビュアーに確認されることも AI モデルの学習に使われることもない、と明記されている。 |
| Ollama(ローカル実行) | ◎学習に使わない手元で動く ローカルで動かしている限り、プロンプト・応答・モデルとのやり取りは提供元が収集も保存も送信もせず、アクセスもできないとプライバシーポリシーに明記されている(=そもそも外に出ない)。クラウドモデルを使う場合も、内容は要求を満たすのに必要な時間を超えて保存されず、学習には使わないと明記。利用規約側にも「We do not use your inputs or outputs to train AI models.」と重ねて記載があり、個人向け/法人向けでの扱いの差は設けられていない。収集されるのはアカウント情報と、プロンプトや応答の中身を含まない端末・利用メタデータ(アプリのバージョン、リクエスト数など)。 |
| Perplexity | ○既定で学習に使うオプトアウト可 個人向け(Free / Pro / Max)は既定で学習に使われる状態(AI Data Retention が既定で有効)で、アカウント設定の Preferences にある「AI data retention」トグルを切ることで利用者本人がオプトアウトできる。オプトアウトは以後に取得されるデータにのみ適用され、それ以前に取得済みの学習データは削除・除去できないと明記されている。法人向け(Enterprise Pro / Enterprise Max)は契約上、顧客コンテンツを学習に使わないと定められ、第三者モデル提供者にも学習禁止の取り決めがある。 ベンダー公表Perplexity Hel…()ほか 2 件
採取元: 公式ページ・Perplexity Enterprise Terms and Conditions 1.3.3 Model Training・Perplexity Privacy Notice「How We Use Data」
調査日 |
| tsuzumi(NTT) | ◎学習に使わない自テナント内に閉じる Microsoft Azure 上での提供について、公式ユーザーガイドは、推論結果や学習データは自分のテナント内のモデルにだけ適用され、他のテナントのモデルには利用されないと明記している。チューニングに使ったデータセットと学習済みモデルは、利用者自身が Azure の管理画面から削除できるとも記載されている。 この記載は「tsuzumi on Azure MaaS ユーザーガイド v1.0」(© 2024 NTT DATA Japan Corporation)のもの。2025年10月に提供開始された版に対応する同種の記載、およびオンプレミス/プライベートクラウドでの運用時に学習利用の可否を定めた条項は、今回参照した公開資料では確認できなかった。個人向けプランの案内はなく、法人・自治体向けとして案内されている。 ベンダー公表tsuzumi on Azu…()
採取元: tsuzumi on Azure MaaS ユーザーガイド v1.0(tsuzumi on Azure MaaSの提供仕様・注意事項)・tsuzumi on Azure MaaS ユーザーガイド v1.0(提供仕様・注意事項)
調査日 |
◎ 条件なしで当てはまる ○ 条件つき・一部 △ 限定・要申請・無いと明記 × 当てはまらないと明記 ? 編集部がまだ確認していません ― 提供元が公開していない(編集部が調べた) — 記号は編集部の札から機械で付けています。物差しは項目ごとに違い、列の見出しがその項目の意味です。札の意味と根拠は各セルの要約を押すと出ます。
材料の調査日(最新): 2026-08-26
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