IT連携マップシステムどうしのデータ連携・接続仕様のまとめ

公的機関は AI のリスクをどこに置いたか

  • セキュリティ
  • 生成 AI
  • 運用

導入前に決める最終更新 2026-09-26約 1,700 字(+調査の詳細 約 500 字)

3 分で読む

API 連携でデータを外部に渡して大丈夫か では、「安全か」を渡す相手・通り道・置き場所・やめるときの 4 つに分けて確かめました。そこで決めた手当てに社内で予算を付けようとすると、よく聞かれます。「AI のセキュリティ対策は、本当に優先度が高いのか」。

自社の判断だけで答えるのは骨が折れます。日本の公的機関が毎年出している順位は、説明の物差しになります(ただし、順位そのものは対策の優先順位ではありません)。

ここでは、IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ 10 大脅威 2026」を読みます。


初登場で 3 位、ただし個人向けには無い

IPA情報セキュリティ10大脅威2026の構造を4段に並べた図。1〜2位の継続脅威、3位のAI初選出、4〜10位の既存脅威、個人向け10件にAIが無いことの4行
IPA情報セキュリティ10大脅威2026の構造を4段に並べた図。1〜2位の継続脅威、3位のAI初選出、4〜10位の既存脅威、個人向け10件にAIが無いことの4行

組織向けの順位で、AI の利用をめぐるサイバーリスクが 3 位に入りました。2026 年が初選出です。

IPA(情報セキュリティ10大脅威 2026・組織向け)原文
3 AIの利用をめぐるサイバーリスク 2026年 初選出

出典を開く確認 2026-09-21

組織向けの 10 件で 2026 年に初めて選ばれたのはこの 1 件だけで、1・2 位と 4〜10 位の残る 9 件は、以前から選ばれている脅威です。個人向けの 10 件には、AI に触れる項目がありません。

上位 2 つは、長く続いている脅威

順位 脅威 初選出の年と選ばれ方(IPA の表・2016 年以降)
1 ランサム攻撃による被害 2016 年から 11 年連続 11 回目
IPA(情報セキュリティ10大脅威 2026・組織向け)原文
1 ランサム攻撃による被害 2016年 11年連続11回目

出典を開く確認 2026-09-21

2 サプライチェーンや委託先を狙った攻撃 2019 年から 8 年連続 8 回目
IPA(情報セキュリティ10大脅威 2026・組織向け)原文
2 サプライチェーンや委託先を狙った攻撃 2019年 8年連続8回目

出典を開く確認 2026-09-21

3 AI の利用をめぐるサイバーリスク 2026 年 初選出
IPA(情報セキュリティ10大脅威 2026・組織向け)原文
3 AIの利用をめぐるサイバーリスク 2026年 初選出

出典を開く確認 2026-09-21

上の 2 つは新しい話ではありません。1 位は 2016 年から、2 位は 2019 年から、毎年選ばれ続けています。AI はその次に置かれました。

読み方としては、AI が上の 2 つを押しのけたのではなく、その次に加わった形です。既存の対策を止めて AI 対策に振り替える話ではありません。

個人向けには 1 件も無い

区分 AI に触れる項目 並び方
組織向け 10 件 1 件(3 位) 順位が付く
IPA(情報セキュリティ10大脅威 2026)原文
「組織」向け脅威については順位を併記し、「個人」向けでは脅威名のみを五十音順で記載しています。

出典を開く確認 2026-09-21

個人向け 10 件 0 件 五十音順で順位は付かない
IPA(情報セキュリティ10大脅威 2026)原文
「組織」向け脅威については順位を併記し、「個人」向けでは脅威名のみを五十音順で記載しています。

出典を開く確認 2026-09-21

個人向けに並んでいるのは、不正ログイン、フィッシング、サポート詐欺、スマホ決済の不正利用といった項目です。10 件のどの名前にも、AI という言葉は入っていません。

この差が、位置づけを表しています。AI は今のところ、個人が受ける被害としてではなく、組織が向き合う問題として数えられています。

どう選ばれたか

項目 内容
基になったもの 2025 年に発生した社会的に影響が大きかった事故や攻撃の状況など
IPA(情報セキュリティ10大脅威 2026・2026-01-29 公開)原文
2025年に発生した社会的に影響が大きかった情報セキュリティの事故や攻撃の状況などから、IPAが脅威候補を選定し

出典を開く確認 2026-09-21

決め方 研究者と企業の実務担当者などからなる選考会が、審議と投票を経て決定
IPA(情報セキュリティ10大脅威 2026・2026-01-29 公開)原文
情報セキュリティ分野の研究者、企業の実務担当者など約250名のメンバーからなる「10大脅威選考会」が審議・投票を経て決定したものです。

出典を開く確認 2026-09-21

公開 2026 年 1 月 29 日

過去に起きたことが基になっている点は、読むときに大事です。これから起きそうなことの予測ではありません。2025 年の事故や攻撃の状況から候補が選ばれ、そのうえで選考会の投票で 3 位になりました。

IPA 自身も、複数の脅威にまたがる事案があるため、自分の環境に照らして、選ばれた脅威にはできるだけもれなく対策を行うことが求められる、と書いています。

IPA(情報セキュリティ10大脅威 2026)原文
複数の脅威にまたがる事案もあるため、各自の環境に照らし選出された脅威については、極力もれなく対策を行うことが求められます。

出典を開く確認 2026-09-21

順位は優先度そのものではなく、自社の状況に当てはめるための材料です。

解説書[組織編]では、もっとはっきり書いています。順位は危険度を表すものではなく、前年の被害事例などをもとに、選考会の参加者がそれぞれの観点で社会的な影響が大きかったと判断した順で、

IPA(情報セキュリティ 10 大脅威 2026 解説書[組織編]・2026 年 3 月 12 日 初版・4 月 11 日 四版)原文
組織の脅威はランキング形式で紹介しているが、順位が危険度を表しているわけではない。昨年の被害事例等の状況から、「10 大脅威選考会」の参加者がそれぞれの観点で、社会的に影響が大きかったと判断した脅威の順である。

出典を開く確認 2026-09-26

対策すべき優先順位でもない、としています。
IPA(情報セキュリティ 10 大脅威 2026 解説書[組織編]・2026 年 3 月 12 日 初版・4 月 11 日 四版)原文
組織向けの「10 大脅威」は順位付けされているが、対策すべき優先順位ではない。

出典を開く確認 2026-09-26

社内の説明にどう使うか

場面 使い方
予算の根拠 公的機関の順位と、選考会の審議と投票で決まったことをそのまま示す
優先度の議論 1 位と 2 位が、2016 年と 2019 年から毎年選ばれていることも一緒に示す(AI は置き換えではなく追加)
対象範囲の説明 組織向けにだけ入っていることを示し、社内の仕組みの話として扱う
反論への備え 前年に実際に起きた事故や攻撃が基になっている、と説明する
順位の読み方 順位は危険度でも対策の優先順位でもない、と IPA が書いていることを添える

社内で AI のリスクを提起するときは、たとえば次のように言えます。

「AI の利用をめぐるリスクは、IPA の 10 大脅威 2026 で組織向けの 3 位に初めて入りました。1 位のランサム攻撃、2 位のサプライチェーンや委託先を狙った攻撃に次ぐ位置です。順位は対策の優先順位ではありませんが、選考会が 2025 年の状況から、社会的な影響が大きかったと判断した脅威です。」

ここから先は調査の詳細です(約 1 分)。上のカードだけで決められます。調べた 1 件ずつの記録は IT連携マップ に、出典 URL と調査日つきで公開しています。

調査の詳細

調べた範囲は、IPA が公開している情報セキュリティ 10 大脅威 2026 の一覧のページと、解説書[組織編]の「はじめに」と「お読みいただくうえでの留意事項」です。対象は組織向けと個人向けの一覧、選び方の説明、順位の読み方で、解説書の各脅威の解説とハンドブックの中身は含めていません。資料を保存し、引用がすべて原文のまま在ることを確かめています。調べていないことは、順位の妥当性です(選考会の議論の中身は、調べた資料には書かれていません)。

項目 内容
出典 IPA 情報セキュリティ 10 大脅威 2026(一覧のページ)・同 解説書[組織編]
公開日 一覧 2026 年 1 月 29 日(最終更新 2026 年 5 月 21 日)・解説書 2026 年 3 月 12 日 初版(4 月 11 日 四版)
対象 組織向け 10 件、個人向け 10 件、選び方の説明、順位の読み方
引用 9 本(すべて原文のまま在ることを確認)
確認時期 2026 年 9 月 21 日(解説書の 2 本は 9 月 26 日)

順位は投票で決まるものなので、被害の大きさの順ではありません。選考会がどう重みを置いたかを表しています。

IPA(情報セキュリティ 10 大脅威 2026 解説書[組織編]・2026 年 3 月 12 日 初版・4 月 11 日 四版)原文
組織の脅威はランキング形式で紹介しているが、順位が危険度を表しているわけではない。昨年の被害事例等の状況から、「10 大脅威選考会」の参加者がそれぞれの観点で、社会的に影響が大きかったと判断した脅威の順である。

出典を開く確認 2026-09-26

そこを踏まえたうえで、外部の共通の物差しとして社内の説明に使えます。

実際に何が起きたのかは 「AI が攻撃した」は何が起きたか にまとめています。

← 調査記事の一覧へ 比較する

「公的機関は AI のリスクをどこに置いたか」について、分からないところを聞いてください
この画面のヒント
「公的機関は AI のリスクをどこに置いたか」について、分からないところを聞いてください
編集部はベンダーからの掲載料・送客料・成果報酬を一切受け取りません。判定は編集部の調査記録にある一次資料から、機械で組み立てています。 チャット(HINT)の相談内容の扱いはプライバシーポリシーに書いています。
一覧: システム一覧 連携ツール(連携サービス)一覧 AI・自動化ツール一覧 稼働状況・障害情報
記載の誤り・掲載についてのご連絡 → 訂正・掲載のご依頼(無料・無条件・全社同一) 運営者情報