IT連携マップシステムどうしのデータ連携・接続仕様のまとめ

4 分で読む

MCP で社内のデータに繋ぐと聞くと、最初に出る問いは決まっています。「その中身は、どこまで行くのか」。

仕様を読むと、その答えは仕様の中にありません。書いてあるのは、やりとりの形と、実装する側への要請までです。

仕様(2026-07-28 版)の該当箇所を、そのまま読みます。


誰が何を決めているか

MCPで誰が何を決めるかを4段に並べた図。仕様が定めること、仕様が求めること、仕様が決めないこと、だから見るものの4行。仕様2026-07-28から作成
MCPで誰が何を決めるかを4段に並べた図。仕様が定めること、仕様が求めること、仕様が決めないこと、だから見るものの4行。仕様2026-07-28から作成

仕様が定めているのは、メッセージの形と最初の手順です。中身がどこへ行くかは、繋いだ側の道具が決めます。

仕様が求めていること

誰に対して 何を求めているか
利用者 すべてのデータ参照と操作について、はっきり同意し、理解していること
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Security and Trust & Safety)原文
Users must explicitly consent to and understand all data access and operations

出典を開く確認 2026-09-21

利用者 何が共有され、何が実行されるかを、自分で決められる状態を保つこと
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Security and Trust & Safety)原文
Users must retain control over what data is shared and what actions are taken

出典を開く確認 2026-09-21

繋ぐ側の道具 利用者のデータをサーバーへ渡す前に、はっきりした同意を得ること
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Security and Trust & Safety)原文
Hosts must obtain explicit user consent before exposing user data to servers

出典を開く確認 2026-09-21

繋ぐ側の道具 同意なく、受け取ったデータを別の場所へ送らないこと
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Security and Trust & Safety)原文
Hosts must not transmit resource data elsewhere without user consent

出典を開く確認 2026-09-21

下 2 行が要点です。守る主体は、仕様そのものではなく、繋ぐ側の道具です。

そして、守られているかどうかを外から確かめる手段は、仕様に書かれていません。プロトコルの上に、その検査は無いということです。

仕様が決めていないこと

項目 仕様の扱い
認可を付けるか 任意だと明記されている
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Authorization)原文
Authorization is OPTIONAL for MCP implementations.

出典を開く確認 2026-09-21

どのモデルに渡すか 定めなし
受け取った中身を残すか 定めなし
繋ぎ先をどう選ぶか 定めなし

認可が任意だということは、認可の無いサーバーに繋ぐことも仕様の範囲だということです。付けるかどうかは、作る側が決めます。

道具の説明文は信用できないものとして扱う

仕様には、もう 1 つ踏み込んだ記述があります。

何について 仕様が書いていること
誰が道具を呼ぶか AI(言語モデル)が、文脈の理解と利用者の指示をもとに、道具を見つけて自動で呼べるように作られている
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Tools)原文
meaning that the language model can discover and invoke tools automatically based on its contextual understanding and the user’s prompts

出典を開く確認 2026-09-23

道具の一覧 繋ぐ側の道具は、使える道具の一覧をサーバーに問い合わせて受け取る
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Tools)原文
To discover available tools, clients send a tools/list request.

出典を開く確認 2026-09-23

道具そのもの 任意のコード実行にあたるので、相応の注意をもって扱わなければならない
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Security and Trust & Safety)原文
Tools represent arbitrary code execution and must be treated with appropriate caution.

出典を開く確認 2026-09-21

道具の説明文 信用できる提供元から得たものでない限り、信用できないものとして扱う
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Security and Trust & Safety)原文
descriptions of tool behavior such as annotations should be considered untrusted, unless obtained from a trusted server

出典を開く確認 2026-09-21

道具の説明文は、AI エージェントがどの道具を呼ぶかを決めるときに読む文章です。その文章が信用できないということは、繋ぎ先を選ぶこと自体が安全の一部だということになります。

これは仕様の不備ではありません。誰でもサーバーを立てられる設計にした以上、繋ぎ先の選別は利用する側に残ります。

仕様が書いている守り方

仕様は、守り方も書いています。ただし、人の確認と繋ぐ側の道具についての項目は「推奨」(SHOULD)で、「必須」(MUST)と書かれているのはサーバー側の項目です。

誰が 仕様が書いていること 強さ
人 安全のために、道具の呼び出しを拒否できる人が、常に間に入っていることを推奨する
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Tools)原文
For trust & safety and security, there SHOULD always be a human in the loop with the ability to deny tool invocations.

出典を開く確認 2026-09-23

推奨
繋ぐ側の道具 大事な操作では、利用者に確認を求める
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Tools / Security Considerations)原文
Prompt for user confirmation on sensitive operations

出典を開く確認 2026-09-23

推奨
繋ぐ側の道具 データの意図しない持ち出しを防ぐため、サーバーを呼ぶ前に、道具への入力を利用者に見せる
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Tools / Security Considerations)原文
Show tool inputs to the user before calling the server, to avoid malicious or accidental data exfiltration

出典を開く確認 2026-09-23

推奨
繋ぐ側の道具 道具の結果を、AI(言語モデル)に渡す前に検証する
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Tools / Security Considerations)原文
Validate tool results before passing to LLM

出典を開く確認 2026-09-23

推奨
認可を付ける場合 使う操作に必要な範囲だけを求める(最小権限の原則)
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Authorization)原文
MCP clients SHOULD follow the principle of least privilege by requesting only the scopes necessary for their intended operations.

出典を開く確認 2026-09-23

推奨
サーバー 道具への入力をすべて検証する。
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Tools / Security Considerations)原文
Servers MUST: Validate all tool inputs

出典を開く確認 2026-09-23

適切なアクセス制御を実装する。
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Tools / Security Considerations)原文
Implement proper access controls

出典を開く確認 2026-09-23

道具の呼び出しの回数に上限を掛ける。
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Tools / Security Considerations)原文
Rate limit tool invocations

出典を開く確認 2026-09-23

道具の出力を無害化する
Model Context Protocol(仕様 2026-07-28・Tools / Security Considerations)原文
Sanitize tool outputs

出典を開く確認 2026-09-23

必須

人の確認が「推奨」にとどまっている以上、自動承認を使うかどうかは、使う側の設定で決まります。

実装を数えた調査 — 資格情報の持ち方と、説明文への仕込み

公開されている実装(ソースコード)を数えた調査が 2 本あります。

調査 分かったこと
5,200 件超 88% が資格情報を要し、
Astrix Security(2025-10-15・State of MCP Server Security 2025)原文
the vast majority of servers (88%) require credentials

出典を開く確認 2026-09-23

53% が長く効く固定の秘密に頼る。
Astrix Security(2025-10-15・State of MCP Server Security 2025)原文
over half (53%) rely on insecure, long-lived static secrets, such as API keys and Personal Access Tokens (PATs)

出典を開く確認 2026-09-23

OAuth は 8.5%
Astrix Security(2025-10-15・State of MCP Server Security 2025)原文
are lagging in adoption at just 8.5%

出典を開く確認 2026-09-23

1,899 件 5.5% に「道具の説明文への仕込み」
Hasan ほか(arXiv:2506.13538・MCP at First Glance)原文
7.2% of servers contain general vulnerabilities, and 5.5% exhibit MCP-specific tool poisoning

出典を開く確認 2026-09-23

4 節の前提が、実装の中で実際に起きています。原文は調査の詳細に。

だから何を見るか

見る対象 確かめること
使っている AI クライアント 同意をどう取るか。同意なしで送らない仕組みがあるか
同じクライアント 受け取った中身を残すか。残すならどこに、どれだけ
繋ぐ MCP サーバー 誰が作ったか。認可が付いているか。資格情報を長期の固定キーで持たせていないか
道具の承認 書き込みや外への送信をする道具で、呼ぶ前に入力を見て止められるか。自動承認を切れるか
組織の決め方 繋ぎ先を誰が選ぶか。勝手に増えない仕組みがあるか

3 つ目と 4 つ目は、技術ではなく運用の話です。仕様が決めていない部分は、誰かが決めることになります。

聞き方はこうなります。

「このクライアントは、MCP サーバーへ送る前に何を見せて同意を取りますか。受け取った内容はどこかに残りますか。繋ぎ先を追加できるのは誰ですか。」

AI エージェントに MCP サーバーを追加する前に確かめる 7 つと、危険の 4 つのパターン、製品ごとの原文は、MCP サーバーを追加する前に、何を確かめるか にまとめています。

ここから先は調査の詳細です(約 3 分)。上のカードだけで決められます。調べた 1 件ずつの記録は IT連携マップ に、出典 URL と調査日つきで公開しています。

調査の詳細

調べた範囲は、Model Context Protocol の仕様 2026-07-28 版のうち、安全と信頼についての段と、認可の段と、道具の段(安全の考慮を含む)、そして公開されている実装を数えた調査 2 本です。仕様は条文を、調査 2 本は公表された要旨と本文を読みました。動いている個々のサーバーやクライアントに接続して確かめてはいません。保存した原本から原文のまま引いています。調べていないことは、各 AI クライアントが同意をどう取り、受け取った内容をどう扱うかです(これは製品ごとに違い、仕様からは読み取れません。MCP サーバーを追加する側の 4 製品の文書は MCP サーバーを追加する前に、何を確かめるか に置いています)。

項目 内容
対象 Model Context Protocol 仕様 2026-07-28 版、実装を数えた調査 2 本(Astrix Security 2025-10-15、arXiv:2506.13538)
読んだ段 仕様は安全と信頼についての原則・認可・道具、調査は要旨と結果
引用 29 本(すべて保存した原本に原文のまま在ることを確認)
確認時期 2026 年 9 月 21 日(調査 2 本は 9 月 23 日)
含まれないもの 動いている個々のクライアントやサーバーへの接続による確認

実装を数えた調査 2 本の原文

仕様の外で、公開されているサーバーの実装(ソースコード)を数えた調査が 2 本あります。どちらも動いているサーバーに接続して調べたものではなく、公開されているコードを調べたものです。

何を調べたか 調査が書いていること
資格情報の持ち方(5,200 件超) オープンソースの MCP サーバーの実装 5,200 件超を、資格情報の扱い方について調べた
Astrix Security(2025-10-15・State of MCP Server Security 2025)原文
We analyzed over 5,200 unique, open-source Model Context Protocol (MCP) server implementations to understand how they manage credentials

出典を開く確認 2026-09-23

資格情報を要るか 大半のサーバー(88%)が資格情報を必要とする
Astrix Security(2025-10-15・State of MCP Server Security 2025)原文
the vast majority of servers (88%) require credentials

出典を開く確認 2026-09-23

何で持っているか 半数を超える(53%)が、API キーや個人のアクセストークンのような長期の固定の秘密に頼っている
Astrix Security(2025-10-15・State of MCP Server Security 2025)原文
over half (53%) rely on insecure, long-lived static secrets, such as API keys and Personal Access Tokens (PATs)

出典を開く確認 2026-09-23

OAuth OAuth のような方式の採用は 8.5% にとどまる
Astrix Security(2025-10-15・State of MCP Server Security 2025)原文
are lagging in adoption at just 8.5%

出典を開く確認 2026-09-23

固定の秘密の性質 長く使われ、めったに入れ替えられない
Astrix Security(2025-10-15・State of MCP Server Security 2025)原文
which are long-lived and rarely rotated

出典を開く確認 2026-09-23

どこに置かれるか API キーの 79% は、単純な環境変数で渡されている
Astrix Security(2025-10-15・State of MCP Server Security 2025)原文
79% of API keys are passed via simple environment variables.

出典を開く確認 2026-09-23

調査の勧め すべての繋ぎ先が OAuth に対応しているわけではないが、OAuth がよいやり方とされている
Astrix Security(2025-10-15・State of MCP Server Security 2025)原文
While not every downstream platform supports OAuth, it’s considered best practice.

出典を開く確認 2026-09-23

健全性と安全性(1,899 件) オープンソースの MCP サーバー 1,899 件を、健全性・安全性・保守性について評価した
Hasan ほか(arXiv:2506.13538・MCP at First Glance)原文
we evaluate 1,899 open-source MCP servers to assess their health, security, and maintainability

出典を開く確認 2026-09-23

なぜ新しい危険か AI が流れを決め、毎回同じ動きになるとは限らない MCP の作りが、安全などに新しい危険を持ち込む
Hasan ほか(arXiv:2506.13538・MCP at First Glance)原文
MCP's AI-driven, non-deterministic control flow introduces new risks to sustainability, security, and maintainability

出典を開く確認 2026-09-23

脆弱性の種類 8 種類の脆弱性を特定し、そのうち従来のソフトウェアの脆弱性と重なるのは 3 種類だけだった
Hasan ほか(arXiv:2506.13538・MCP at First Glance)原文
we identify eight distinct vulnerabilities -- only three of which overlap with traditional software vulnerabilities

出典を開く確認 2026-09-23

説明文への仕込み 7.2% に一般的な脆弱性があり、5.5% に MCP 特有の「道具の説明文への仕込み」があった
Hasan ほか(arXiv:2506.13538・MCP at First Glance)原文
7.2% of servers contain general vulnerabilities, and 5.5% exhibit MCP-specific tool poisoning

出典を開く確認 2026-09-23

調査の勧め MCP の登録簿で、自動の安全検査を回せるようにする
Hasan ほか(arXiv:2506.13538・MCP at First Glance)原文
enabling automated security scanning within MCP registries

出典を開く確認 2026-09-23

2 つ目の調査の 5.5% は、上の節の「道具の説明文は信用できないものとして扱う」が、実装の中で実際に起きていることを示しています。

1 つ目の調査の数字は、サーバーが繋ぐ先のサービスへの資格情報をどう持っているかの話です。MCP サーバーの入口に認証が付いているかどうかを数えたものではありません。

仕様の条文には、規格として強制する書き方と、実装する側への要請として書かれたものがあります。ここで引いている安全の原則は後者で、従わなくても仕様に適合しなくなるわけではありません。それが「MCP だから安全」と言えない理由です。

編集部が公開しているサーバーで何を開いて何を閉じたかは、編集部の MCP は何を開き何を閉じるか に置いています。

← 調査記事の一覧へ 比較する

「MCP で繋ぐと中身はどこへ行くか」について、分からないところを聞いてください
この画面のヒント
「MCP で繋ぐと中身はどこへ行くか」について、分からないところを聞いてください
編集部はベンダーからの掲載料・送客料・成果報酬を一切受け取りません。判定は編集部の調査記録にある一次資料から、機械で組み立てています。 チャット(HINT)の相談内容の扱いはプライバシーポリシーに書いています。
一覧: システム一覧 連携ツール(連携サービス)一覧 AI・自動化ツール一覧 稼働状況・障害情報
記載の誤り・掲載についてのご連絡 → 訂正・掲載のご依頼(無料・無条件・全社同一) 運営者情報