AI に入れた会話のログは誰が見るか
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社内で生成 AI を使い始めると、必ず聞かれる問いがあります。「入れた内容は、あとから誰かに見られますか」。
答えは製品ごとに違い、しかも「履歴を消せます」という案内だけでは答えになりません。消えるのは画面の履歴で、記録は別に残ることがあるからです。
調査記録の AI ツール 37 製品について、記録の残り方を書いた箇所を 1 件ずつ読みました。
記録は 5 通りの残り方をする
提供元の言葉が取れたのは 22 件で、残り方は次の 5 つに分かれました。
| 型 | どこに残るか | 消せるのは誰か |
|---|---|---|
| ① 手元に残る | 利用者の機械のファイル | 利用者 |
| ② 提供元が持ち、管理者が読める | 提供元の基盤。会社の管理者が取り出せる | 会社(契約による) |
| ③ 期間で自動的に消える | 提供元の基盤。日数・件数・容量で整理 | 自動 |
| ④ 残さないと書いている | 保存しない、または保存の義務を負わない | — |
| ⑤ 消しても残るものがある | 人が読んだ分が別に保存される | 利用者では消せない |
会社として答えるときに効くのは ⑤ です。利用者が履歴を消しても、別の場所に残っている場合があります。
提供元の言葉で見る
| 型 | 製品 | 提供元が書いていること |
|---|---|---|
| ① | Ollama | 直近の記録は server.log に、古いものは server-#.log に置かれる Ollama(ローカル実行) 実行ログの保持 |
| ① | OpenClaw | 既定の置き場所は /tmp の下の日付つきファイル OpenClaw(オープンクロー) 実行ログの保持 |
| ① | Claude Code | 保持は標準で 30 日間 Claude Code 実行ログの保持 |
| ② | ChatGPT | 法人向けの窓口を通じて、会話と GPT に関する監査の記録にアクセスできる ChatGPT 実行ログの保持 |
| ② | Claude | 書き出すと、組織の直近 180 日分の監査の記録がまとめられる Claude 実行ログの保持 |
| ② | GitHub Copilot | 監査の記録は直近 180 日分を保持する GitHub Copilot 実行ログの保持 |
| ② | Microsoft 365 Copilot | 標準の監査では記録を 180 日間保持し、過去 6 か月のできごとを検索できる Microsoft 365 Copilot 実行ログの保持 |
| ② | Kiro | 記録を保存する先と期間は、利用者側の環境で決める Kiro(AWS) 実行ログの保持 |
| ② | Claude Cowork | 既定では、書き出されるできごとに含まれるのは付随情報だけ Claude Cowork 実行ログの保持 |
| ② | CrewAI | 入力から結果まで、実行のあらゆる場面を捉えた詳しい記録が読める CrewAI(クルーAI) 実行ログの保持 |
| ② | exaBase 生成AI | アクセス元と操作履歴を管理して不正利用を防ぐと案内している exaBase 生成AI(エクサウィザーズ) 実行ログの保持 |
| ③ | Grok | 既定では、すべての要求と応答を監査のために 30 日間サーバーに保存する Grok 実行ログの保持 |
| ③ | Codex | 基盤側の記録は 30 日間利用できる Codex(OpenAI) 実行ログの保持 |
| ③ | Dify | クラウド版は、記録の履歴が 30 日 Dify(ディファイ) 実行ログの保持 |
| ③ | n8n | 直近の実行を保持し、件数の上限がプランごとにある n8n 実行ログの保持 |
| ③ | スマート OCR | 1TB を超えるか 6 か月を過ぎた変換済みの画像は、確認なく削除できる定め スマートOCR 実行ログの保持 |
| ③ | SmartRead | 記録は 1 年間保存され、時刻・発信元・要求先・応答の符号などで構成される SmartRead(スマートリード) 実行ログの保持 |
| ③ | DeepSeek | アカウントを持っている限り、提供のために処理した情報を保持する DeepSeek 実行ログの保持 |
| ③ | Devin | 顧客との関係が続く間は保持すると規約に定める Devin 実行ログの保持 |
| ④ | Perplexity | 対話の窓口に送られたデータは保持せず、学習にも使わないと明記 Perplexity 実行ログの保持 |
| ④ | Felo | 送信した文と回答の内容や履歴について、保存する義務を負わないと規約に定める Felo(フェロー) 実行ログの保持 |
| ⑤ | Gemini | 人がレビューした会話は、利用者が活動を削除しても削除されず、最長 3 年保存される Gemini 実行ログの保持 |
DX Suite は、基盤に関するアクセスの記録や操作の記録を開示・提供していないと書いています。DX Suite(ディーエックス スイート) 実行ログの保持
「履歴を消す」と「記録が消える」は別のこと
| 画面の操作 | 何が起きるか | 残るもの |
|---|---|---|
| 会話を削除する | 一覧から消える | 監査の記録、人がレビューした分 |
| 履歴の保存を切る | 以後の会話が一覧に残らない | 不正利用の検知のための保管 |
| アカウントを消す | 利用者の側の入口が消える | 契約や法令で定められた保管 |
この差が、社内の説明でいちばん誤解されます。利用者に「消せます」と伝えると、記録も消えたと理解されます。
こう決める — 社内の規程を書く前に
| 順 | 何をするか | どこを見るか |
|---|---|---|
| 1 | 使っている製品が 5 つのどの型かを判定する | 利用規約、プライバシーの案内 |
| 2 | 管理者が監査の記録を読めるかを確かめる | 管理者向けヘルプの監査の項 |
| 3 | 読めるとしたら、どの契約とどの期間かを確かめる | 料金表の法人向けの段 |
| 4 | 利用者が消しても残るものがあるかを確かめる | データの取り扱いの案内 |
聞き方はこうなります。
「入れた内容の記録は、どこに、どれだけの期間、残りますか。会社の管理者はそれを読めますか。利用者が履歴を削除したあとも残るものはありますか。」
ここから先は調査の詳細です(約 1 分)。上のカードだけで決められます。調べた 1 件ずつの記録は IT連携マップ に、出典 URL と調査日つきで公開しています。
調査の詳細
調べた範囲は、調査記録で公開している AI ツール 37 製品です。対象は AI の道具に限り、連携ツールや業務システムは含めていません。各製品の利用規約・プライバシーの案内・管理者向けヘルプを 1 件ずつ開き、記録の残り方について提供元が書いている箇所を書き出して、保存した原本と逐字で照らしました。調べていないことは、提供元が文書にしていない保管です(法令や個別契約による保管、下請けの基盤に残る分はこの調べの外にあります)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 調査記録で公開している AI ツール 37 製品 |
| 読んだ場所 | 利用規約、プライバシーの案内、管理者向けヘルプ、料金表 |
| 確認時期 | 2026 年 8 月〜9 月(製品ごとの確認日は各製品の調査記録に記載) |
| 数え方 | 記録について提供元自身の文があり、その文を保存した原本と逐字で照合できたものだけを数えた |
22 件という数は、残りの 15 件が記録を残していないという意味ではありません。記述を見つけられなかった、あるいは見つけた記述を原本と逐字で照らせなかった、という記録です。
各製品の調査記録では、この欄を「実行の記録」として公開しています。記号や札を押すと原文と出典が開きます。
比較項目:
| システム | 業務安定性 |
|---|---|
| 実行ログの保持 | |
| ChatGPT | 料金プランの比較表では、個人向けの無料版・Go・Plus・Pro のいずれもチャット履歴が無制限と記載されている(合理的な範囲での利用と各種方針への準拠が条件と注記されている)。監査のための記録基盤は、法人向けの最上位プランの項目として挙がっている。日数で示した保持期間は、この表には無い。 |
| Claude | 操作の記録は最上位の法人向け組織だけで使え、書き出すと直近180日ぶんがまとめられる。書き出しを指示した所有者にダウンロード用のリンクがメールで届き、そのリンクは24時間有効。まとめ処理のため、指示してからメールが届くまで時間がかかることがあるとも書かれている。 |
| DeepSeek | サービスを提供するために処理する情報(アカウント情報、入力内容、支払情報)は、アカウントがある限り保持すると書かれている。日数で区切った保持期間は示されていない。会話の履歴は設定から利用者が管理・削除でき、アカウントを削除すると復元はできないとも書かれている。 |
| exaBase 生成AI(エクサウィザーズ) | 操作記録あり。保持日数は非公開 ベンダー公表 主な機能の一つとしてアクセス制御と利用ログの管理を挙げ、接続元や操作の履歴を管理できると説明している。よくある質問のアクセス制御の項目にも、接続元の制限、シングルサインオン、操作の記録が並ぶ。ただし、記録を何日間残すのかは書かれていない。 |
| Felo(フェロー) | 保存義務を負わない。保持期間の記載なし ベンダー公表 事業者向けの利用規約に、送信した内容と返ってきた回答の内容や履歴について、保存する義務を負わないという定めがある。何日間残すかという保持期間の記載も無い。企業向けの紹介ページには、検索履歴や社内資料の情報は利用者が公開を許可した場合にのみ他の利用者と共有されると書かれているが、これは共有範囲の説明で、保存期間の説明ではない。 この定めは事業者向けの Felo Enterprise の規約にあるもの。個人向けの規約は別のページにあり、この採取では中身を確かめていない。 |
| Gemini | 会話の記録は、自動削除までの期間が既定で18か月に設定されており、3か月、36か月、または自動削除しないに変更できる。会話はいつでも自分で削除できる。ただし、人が内容を確認したチャットは、言語・端末の種類・位置情報・フィードバックなどの関連データとともに、利用者が履歴を削除しても消えず、最長で3年間保存される。利用頻度など一部のデータはアカウントを削除するまで保持される。 |
| Genspark(ジェンスパーク) | 履歴は日付ごとに残る。期限の記載なし ベンダー公表 過去の作業は、利用者の画面のマイライブラリの履歴の欄に、新しい順に日付ごとにまとめられて残る。下へたどると古いものが読み込まれる。何日間残るのかという期限は、開いた範囲では書かれていない。 |
| Grok | API のリクエストとレスポンスは既定で 30 日間サーバーに保存され(保存時は暗号化)、不正利用が疑われたときの調査に使われたのち自動で削除される。厳しい取り扱いが必要なチームは Zero Data Retention を有効にでき、その場合は保存されない代わりに、API キーごとの記録の閲覧、状態を保つ応答 API、ファイル、コレクション、バッチ、遅延応答などが使えなくなる。 |
| Microsoft 365 Copilot | 他社 AI との記録は従量課金で 180 日 ベンダー公表 Copilot と AI アプリの利用と管理操作は、監査(標準)の一部として自動的に記録される。組織で監査が有効なら追加の設定は要らない。監査(標準)での保持は 180 日で、監査(プレミアム)なら保持の方針を作って最大 1 年、追加ライセンスがあれば最大 10 年まで延ばせる。Microsoft Entra ID・Exchange・OneDrive・SharePoint の記録は既定で 1 年。 2023 年 10 月 17 日より前に作られた監査(標準)の記録は 90 日保持。Office 365 マネージメント アクティビティ API を使えば、既定の 180 日より長く自組織側で持つこともできる。 Microsoft 製以外の AI アプリとのやり取りの記録は従量課金の扱いで、有効にすると 180 日保持される。Microsoft 製のアプリ(Copilot を含む)は監査(標準)に含まれ、従量課金の対象外。 ベンダー公表公式ドキュメント「Micro…()ほか 1 件
採取元: 公式ドキュメント「Microsoft Purview 監査ソリューション」・公式ドキュメント「Audit logs for Copilot and AI applications」
調査日 |
| NotebookLM(現在の表記は Gemini Notebook) | ― 編集部まとめ出典()
公式ヘルプ「仕事用または学校用の Google アカウントで Gemini Notebook を使用する」 確認したもの: 公式ヘルプの「Gemini Notebook の詳細」「よくある質問」「仕事用または学校用の Google アカウントで使用する」、および管理者向けの有効化の手引きを開いたが、利用の記録をどれだけの期間残すかを示す記述は無い。書かれているのはデータの取り扱い(フィードバックを送らない限り学習に使わない、仕事用・学校用では人によるレビューもしない)と、削除したメモは元に戻せないことまでで、管理者が見られる記録やその保持期間には触れていない。 調査日 |
| Ollama(ローカル実行) | クラウド利用でも保存も記録もしない ベンダー公表 自分の機械で動かす場合、動作の記録は利用者の機械に残る(macOS は ~/.ollama/logs/server.log、systemd の Linux は journalctl、Windows は %LOCALAPPDATA%\Ollama の server.log と、古い分の server-#.log)。保つ期間を決めるのは利用者側で、ベンダーが預かるものではない。 コンテナで動かす場合は標準出力・標準エラーに出る。詳しい記録を出す切り替えも用意されている。 クラウドのモデルを使う場合は、送った内容と返ってきた内容を保存も記録もせず、学習にも使わないと明記されている。集めるのは基本的なアカウント情報と、内容を含まない最小限の利用状況のみ。Team プランの機能一覧にも、保存も記録もしないことが項目として掲げられている。 |
| Perplexity | API に送った問い合わせの内容は保存しないと明記されている。集めるのは請求に必要な記録だけで、処理したトークン数、使ったモデル、呼び出しの時刻と所要時間、請求のための API キーの識別のみ。プロンプトや応答の中身は含まないとしている。 この請求のための記録をどれだけの期間持つかは、開いた範囲には書かれていない。 |
| tsuzumi(NTT) | ― 編集部まとめ出典()
公式「tsuzumi 2 on Azure ユーザーガイド v1.1」(2026 年 7 月 30 日改訂) 確認したもの: ユーザーガイド 2 冊と製品ページを通して読んだが、推論の実行記録を誰がどれだけの期間持つかについての記述は無い。書かれているのは、推論の結果は自分のテナント内のモデルにのみ適用され、他のテナントのモデルには使われないという点まで。 調査日 |
◎ 条件なしで当てはまる ○ 条件つき・一部 △ 限定・要申請・無いと明記 × 当てはまらないと明記 ? 編集部がまだ確認していません ― 提供元が公開していない(編集部が調べた) — 記号は編集部の札から機械で付けています。物差しは項目ごとに違い、列の見出しがその項目の意味です。札の意味と根拠は各セルの要約を押すと出ます。
材料の調査日(最新): 2026-08-26