IT連携マップシステムどうしのデータ連携・接続仕様のまとめ

「読み取りだけ」は本当に読み取りだけか

用語・仕組み — API とは・OAuth とは・レート制限とは最終更新 2026-09-21約 1,800 字(+調査の詳細 約 700 字)

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連携ツールの設定画面で「読み取りのみ」を選ぶと、安心します。

ただ、その選択肢が用意されているかどうかは、使う側ではなく製品が決めています。用意されていなければ、渡るのは全部できるトークンです。

調査記録で公開しているシステムのうち、API 定義を保存できている 16 本について、入口の数と、絞るための札の数を数えました。


札の数は 0 から 122 まで開く

APIのスコープの粒度を4段に分けた図。札が細かい、札が粗い、札が無い、管理画面でだけ絞れるの4行。公開システムのうちAPI定義を保存できている16製品を数えて作成
APIのスコープの粒度を4段に分けた図。札が細かい、札が粗い、札が無い、管理画面でだけ絞れるの4行。公開システムのうちAPI定義を保存できている16製品を数えて作成

ここでいう入口は API 定義に書かれた経路の数、札はその API が用意しているスコープの数です。どちらも定義ファイルから数えられます。

入口の数と札の数

システム 入口 認証の宣言
jinjer 177 0 bearer トークン
kintone 128 保存した定義に認証の宣言なし
freee 会計 96 2 OAuth(read / write)
マネーフォワード クラウド経費 88 6 OAuth
invox 68 14 OAuth
freee 人事労務 68 0 API キー
SmartHR 60 保存した定義に認証の宣言なし
board 53 0 API キー + bearer
Notion 34 0 bearer / basic
e-Gov 33 保存した定義に認証の宣言なし
Misoca 31 保存した定義に認証の宣言なし
マネーフォワード クラウド請求書 23 2 OAuth
Chatwork 19 22 API キー + OAuth
マネーフォワード クラウド会計 17 13 OAuth
HubSpot 数えていない 最大 122 API キー + OAuth
ジョブカン会計 8 0 bearer トークン

「—」は札が無いという意味ではありません。保存した定義に認証の宣言そのものが無く、こちらからは読めなかった、という記録です。

札が粗いと、何を読むかは選べない

freee 会計の API 定義は、スコープを 2 つだけ宣言しています。

説明として書かれている文字
read データの読み取り freee会計 API の認証方式
write データの書き込み freee会計 API の認証方式

この 2 枚で 96 の入口を守っています。「読み取りだけ」は選べますが、「取引だけ読み取り」「取引先だけ読み取り」は選べません。読み取りを渡すと、その API で読めるものが全部読めます。

対照的に Chatwork は、入口 19 に対して札を 22 枚用意しています。自分のプロフィールだけ、タスクだけ、といった単位で分かれるので、札の方が入口より多くなります。

Zoho CRM は、トークンがスコープに書かれた操作の範囲でしか使えないと明記しています。Zoho CRM API の認証方式

札が無くても、管理画面で絞れることがある

API 定義に札が無いことと、絞る手段が無いことは別です。

製品 API 定義 提供元が書いている絞り方
board 札 0 複数発行でき、APIトークンごとに利用可能なエンドポイントを指定できます board API の認証方式
kaonavi 定義なし 認証情報ごとに操作できるリソースと操作種別を細かく制御できます カオナビ API の認証方式
ジョブカン勤怠 定義なし 使用するスコープにチェックを入れ、「新規クライアント作成」ボタンをクリックする ジョブカン勤怠管理 API の認証方式
jinjer 札 0 すべての API キーと API シークレットキーを利用できます ジンジャー API の認証方式

最後の 1 行だけ向きが逆です。jinjer は絞り方ではなく、全部使えることを書いています。

kaonavi は絞る単位を表にして公開していて、リソース 4 種と操作 4 種の組み合わせになっています。不要な操作をオフにしておくことで意図しないデータへのアクセスを防止できる、と書かれています。カオナビ API の認証方式 さらに、用途に応じて複数の認証情報を使い分け、それぞれに必要最小限の権限を設定することを推奨する、とも書いています。カオナビ API の認証方式

こう確かめる — 連携ツールに渡す前に

何をするか どこを見るか
1 その API に札が在るかを確かめる API 定義の securitySchemes、または開発者向けドキュメントのスコープ一覧
2 札の単位を確かめる 読み書きの 2 枚か、資源ごとか、操作ごとか
3 管理画面で絞れないかを確かめる トークン発行画面のチェックボックス、利用可能な経路の指定
4 絞れないなら、渡す相手を選び直す 全部できるトークンを渡してよい相手かどうか

聞き方はこうなります。

「この API にスコープはありますか。あるとしたら、どの単位で分かれていますか。読み取りだけに絞ったとき、読めないものは何ですか。管理画面でエンドポイントを指定することはできますか。」

3 つ目が肝心です。「読み取りだけ」で読めるものの範囲を答えられなければ、範囲が決まっていないということです。

ここから先は調査の詳細です(約 1 分)。上のカードだけで決められます。調べた 1 件ずつの記録は IT連携マップ に、出典 URL と調査日つきで公開しています。

調査の詳細

調べた範囲は、調査記録で公開しているシステムのうち、API 定義(OpenAPI または Swagger)を保存できている 16 本です。対象は業務システムと連携ツールで、AI の道具は含めていません。保存した定義ファイルを機械で読み、経路の数と securitySchemes に宣言されたスコープの数を数えました。あわせて各製品の開発者向けドキュメントを開き、管理画面での絞り方について提供元が書いている箇所を書き出して、保存した原本に原文のまま在ることを確かめました。調べていないことは、実際にトークンを発行して各経路を呼び、応答を確かめることです(この調べは公開されている定義と文書に限っています)。

項目 内容
対象 API 定義を保存できている 16 システム
数え方(入口) 定義ファイルの paths に並ぶ経路の数
数え方(札) securitySchemes に宣言されたスコープの数
札が読めなかった 4 件(定義に認証の宣言が無い)
確認時期 2026 年 8 月〜9 月(製品ごとの確認日は各製品の調査記録に記載)

HubSpot は、API の定義そのものが機能ごとに分かれて公開されています。そのため入口の数を 1 つに合計していません(重複を除けないためです)。札の数は、最も多い定義の値を書いています。

入口の数は、製品の機能の多さとは一致しません。同じ会計の分野でも、定義の書き方によって経路の粒度が変わるためです。ここで比べているのは製品の大きさではなく、札と入口の比です。

各製品の調査記録では、この欄を「認証方式」として公開しています。記号や札を押すと原文と出典が開きます。

比較項目:

システム業務ワークフロー円滑度
API の認証方式
freee会計
OAuthスコープ
OAuth2(authorization_code)。
編集部確認公式 API スキーマ()
採取元: freee_accounting.json(securitySchemes)
調査日
Chatwork
APIトークンOAuth 2.0認可コードPKCE
APIトークン、または OAuth 2.0 ベンダー公表
認証のしかたは 2 通り。ひとつは画面で発行するAPIトークンで、HTTP ヘッダーの x-chatworktoken に入れて送る。有効期限は無く、機能にフルアクセスできると書かれている。もうひとつが OAuth 2.0 で、対応するのは認可コードを使う流れだけ。アクセストークンの有効期間は30分間、更新用のリフレッシュトークンは14日間で、offline_access を付けたときだけ無期限になる。クレデンシャルを秘匿できないアプリでは PKCE が必須。なおトークンの利用には、パーソナルプランを除き組織管理者への申請が要る。
ベンダー公表開発者向けドキュメント(OA…()ほか 2 件
開発者向けドキュメント(OAuth 2.0について) ベンダー公表 ℹ️OAuth クライアントは登録時にクライアント名・種別(コンフィデンシャル/パブリック)・リダイレクトURI(最低 1 つ、最大 5 つ)・スコープを申告する。パブリッククライアントは code_challenge と code_challenge_method(固定値 S256)が必須。トークンの発行先は https://oauth.chatwork.com/token 、API のベースURIは https://api.chatwork.com/v2 。スコープは users / rooms / contacts の系列で、参照のみと更新ありが分かれている。OAuth 専用のログイン画面は SAML 認証に対応していない。
採取元: 開発者向けドキュメント(エンドポイントについて)・開発者向けドキュメント(はじめに)・開発者向けドキュメント(OAuth 2.0について)
調査日
board
APIキーAPIトークン
2方式の併用が必須: ①APIキー(x-api-key ヘッダー・アカウントで1つ発行)+②APIトークン(Authorization: Bearer・複数発行可でトークンごとに利用可能エンドポイントを指定可)。OAuthなし
ベンダー公表board APIドキュメン…()ほか 1 件
採取元: board APIドキュメント(認証・認可)・board APIドキュメント(APIキー)・board APIドキュメント(APIトークン)
調査日
カオナビ
アクセストークンBasic認証Consumer Key
鍵から発行するアクセストークン ベンダー公表
管理者機能で作った認証情報のConsumer KeyとConsumer Secretを使い、Basic認証でアクセストークンを発行する。実行時はKaonavi-Tokenという名前のヘッダーにトークンを載せる。トークンの有効期限は一時間で、認証情報は最大五つまで持てる。認証情報ごとに、触れるリソースと操作の種別を絞れる。
ベンダー公表kaonavi API v2…()
採取元: kaonavi API v2 ドキュメント
調査日
ジンジャー
アクセストークンBearer
アクセストークン(`Authorization: Bearer`)。GET /v2/token または GET /v1/token で発行。有効期限4時間、最大同時払い出し数の制限は「特になし」。 / 「GET /v2/token: 原則こちらをご利用ください。すべての API キーと API シークレットキーを利用できます。」v1 は企業ごとにデフォルトで1組ある API キーのみ対応。
編集部確認ジンジャーAPI ドキュメン…()
採取元: ジンジャーAPI ドキュメント(info-description.md)・ジンジャーAPI ドキュメント(info-description.md)(リクエスト制限)・ジンジャーAPI ドキュメント(info-description.md)(GET /v2/token の説明)
調査日
ジョブカン勤怠管理
クライアントIDクライアントシークレット
管理者ページの「他社システム連携>勤怠APIクライアント管理」でAPIクライアントを発行(ID+シークレットアクセスキー、利用スコープをチェックで指定)。発行画面を閉じると再確認不可
ベンダー公表APIクライアント発行につい…()
採取元: 公式ヘルプ「API連携・その他連携が可能なサービス一覧」(発行方法)
調査日
Zoho CRM
OAuth 2.0アクセストークンは1時間リフレッシュトークンは無期限スコープ指定
OAuth 2.0。アクセストークンは1時間で失効し、リフレッシュトークンは無期限(利用者が失効させるまで)。権限はスコープ指定で絞る。
ベンダー公表OAuth 2.0 Auth…()
OAuth 2.0 Authentication(グローバル) ベンダー公表 ℹ️認可リクエストの発行先は登録データセンターごとに異なる。日本データセンターのアカウントは accounts.zoho.jp を使う。
採取元: 同上・同上(Access Token)・同上(Refresh Token)
調査日

条件なしで当てはまる  条件つき・一部  限定・要申請・無いと明記 × 当てはまらないと明記  編集部がまだ確認していません  提供元が公開していない(編集部が調べた) — 記号は編集部の札から機械で付けています。物差しは項目ごとに違い、列の見出しがその項目の意味です。札の意味と根拠は各セルの要約を押すと出ます。

材料の調査日(最新): 2026-09-03

この記事に登場するシステム(17)

ChatworkHubSpotMisocaNotionSmartHRZoho CRMboardfreee会計invoxkintoneカオナビジョブカン会計ジョブカン勤怠管理ジンジャーマネーフォワード クラウド会計マネーフォワード クラウド経費マネーフォワード クラウド請求書

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