「読み取りだけ」は本当に読み取りだけか
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連携ツールの設定画面で「読み取りのみ」を選ぶと、安心します。
ただ、その選択肢が用意されているかどうかは、使う側ではなく製品が決めています。用意されていなければ、渡るのは全部できるトークンです。
調査記録で公開しているシステムのうち、API 定義を保存できている 16 本について、入口の数と、絞るための札の数を数えました。
札の数は 0 から 122 まで開く
ここでいう入口は API 定義に書かれた経路の数、札はその API が用意しているスコープの数です。どちらも定義ファイルから数えられます。
入口の数と札の数
| システム | 入口 | 札 | 認証の宣言 |
|---|---|---|---|
| jinjer | 177 | 0 | bearer トークン |
| kintone | 128 | — | 保存した定義に認証の宣言なし |
| freee 会計 | 96 | 2 | OAuth(read / write) |
| マネーフォワード クラウド経費 | 88 | 6 | OAuth |
| invox | 68 | 14 | OAuth |
| freee 人事労務 | 68 | 0 | API キー |
| SmartHR | 60 | — | 保存した定義に認証の宣言なし |
| board | 53 | 0 | API キー + bearer |
| Notion | 34 | 0 | bearer / basic |
| e-Gov | 33 | — | 保存した定義に認証の宣言なし |
| Misoca | 31 | — | 保存した定義に認証の宣言なし |
| マネーフォワード クラウド請求書 | 23 | 2 | OAuth |
| Chatwork | 19 | 22 | API キー + OAuth |
| マネーフォワード クラウド会計 | 17 | 13 | OAuth |
| HubSpot | 数えていない | 最大 122 | API キー + OAuth |
| ジョブカン会計 | 8 | 0 | bearer トークン |
「—」は札が無いという意味ではありません。保存した定義に認証の宣言そのものが無く、こちらからは読めなかった、という記録です。
札が粗いと、何を読むかは選べない
freee 会計の API 定義は、スコープを 2 つだけ宣言しています。
| 札 | 説明として書かれている文字 |
|---|---|
| read | データの読み取り freee会計 API の認証方式 |
| write | データの書き込み freee会計 API の認証方式 |
この 2 枚で 96 の入口を守っています。「読み取りだけ」は選べますが、「取引だけ読み取り」「取引先だけ読み取り」は選べません。読み取りを渡すと、その API で読めるものが全部読めます。
対照的に Chatwork は、入口 19 に対して札を 22 枚用意しています。自分のプロフィールだけ、タスクだけ、といった単位で分かれるので、札の方が入口より多くなります。
Zoho CRM は、トークンがスコープに書かれた操作の範囲でしか使えないと明記しています。Zoho CRM API の認証方式
札が無くても、管理画面で絞れることがある
API 定義に札が無いことと、絞る手段が無いことは別です。
| 製品 | API 定義 | 提供元が書いている絞り方 |
|---|---|---|
| board | 札 0 | 複数発行でき、APIトークンごとに利用可能なエンドポイントを指定できます board API の認証方式 |
| kaonavi | 定義なし | 認証情報ごとに操作できるリソースと操作種別を細かく制御できます カオナビ API の認証方式 |
| ジョブカン勤怠 | 定義なし | 使用するスコープにチェックを入れ、「新規クライアント作成」ボタンをクリックする ジョブカン勤怠管理 API の認証方式 |
| jinjer | 札 0 | すべての API キーと API シークレットキーを利用できます ジンジャー API の認証方式 |
最後の 1 行だけ向きが逆です。jinjer は絞り方ではなく、全部使えることを書いています。
kaonavi は絞る単位を表にして公開していて、リソース 4 種と操作 4 種の組み合わせになっています。不要な操作をオフにしておくことで意図しないデータへのアクセスを防止できる、と書かれています。カオナビ API の認証方式 さらに、用途に応じて複数の認証情報を使い分け、それぞれに必要最小限の権限を設定することを推奨する、とも書いています。カオナビ API の認証方式
こう確かめる — 連携ツールに渡す前に
| 順 | 何をするか | どこを見るか |
|---|---|---|
| 1 | その API に札が在るかを確かめる | API 定義の securitySchemes、または開発者向けドキュメントのスコープ一覧 |
| 2 | 札の単位を確かめる | 読み書きの 2 枚か、資源ごとか、操作ごとか |
| 3 | 管理画面で絞れないかを確かめる | トークン発行画面のチェックボックス、利用可能な経路の指定 |
| 4 | 絞れないなら、渡す相手を選び直す | 全部できるトークンを渡してよい相手かどうか |
聞き方はこうなります。
「この API にスコープはありますか。あるとしたら、どの単位で分かれていますか。読み取りだけに絞ったとき、読めないものは何ですか。管理画面でエンドポイントを指定することはできますか。」
3 つ目が肝心です。「読み取りだけ」で読めるものの範囲を答えられなければ、範囲が決まっていないということです。
ここから先は調査の詳細です(約 1 分)。上のカードだけで決められます。調べた 1 件ずつの記録は IT連携マップ に、出典 URL と調査日つきで公開しています。
調査の詳細
調べた範囲は、調査記録で公開しているシステムのうち、API 定義(OpenAPI または Swagger)を保存できている 16 本です。対象は業務システムと連携ツールで、AI の道具は含めていません。保存した定義ファイルを機械で読み、経路の数と securitySchemes に宣言されたスコープの数を数えました。あわせて各製品の開発者向けドキュメントを開き、管理画面での絞り方について提供元が書いている箇所を書き出して、保存した原本に原文のまま在ることを確かめました。調べていないことは、実際にトークンを発行して各経路を呼び、応答を確かめることです(この調べは公開されている定義と文書に限っています)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | API 定義を保存できている 16 システム |
| 数え方(入口) | 定義ファイルの paths に並ぶ経路の数 |
| 数え方(札) | securitySchemes に宣言されたスコープの数 |
| 札が読めなかった | 4 件(定義に認証の宣言が無い) |
| 確認時期 | 2026 年 8 月〜9 月(製品ごとの確認日は各製品の調査記録に記載) |
HubSpot は、API の定義そのものが機能ごとに分かれて公開されています。そのため入口の数を 1 つに合計していません(重複を除けないためです)。札の数は、最も多い定義の値を書いています。
入口の数は、製品の機能の多さとは一致しません。同じ会計の分野でも、定義の書き方によって経路の粒度が変わるためです。ここで比べているのは製品の大きさではなく、札と入口の比です。
各製品の調査記録では、この欄を「認証方式」として公開しています。記号や札を押すと原文と出典が開きます。
比較項目:
◎ 条件なしで当てはまる ○ 条件つき・一部 △ 限定・要申請・無いと明記 × 当てはまらないと明記 ? 編集部がまだ確認していません ― 提供元が公開していない(編集部が調べた) — 記号は編集部の札から機械で付けています。物差しは項目ごとに違い、列の見出しがその項目の意味です。札の意味と根拠は各セルの要約を押すと出ます。
材料の調査日(最新): 2026-09-03
この記事に登場するシステム(17)
ChatworkHubSpotMisocaNotionSmartHRZoho CRMboardfreee会計invoxkintoneカオナビジョブカン会計ジョブカン勤怠管理ジンジャーマネーフォワード クラウド会計マネーフォワード クラウド経費マネーフォワード クラウド請求書