AI の「完了しました」は信じてよいか
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AI エージェントが「登録しました」「完了しました」と報告したら、そのまま信じてよいのでしょうか。そして、使ってはいけない鍵を使ってしまったら、自分から教えてくれるのでしょうか。
2026 年 10 月 10 日の試験(AI エージェントは鍵をどう扱うのか)では、どちらも「当てにできない」という結果でした。ただし、確かめる手間は工夫で小さくできます。
何もしていないのに「完了」と報告した
図は、AI の報告と、AI が実際に実行したコマンドの記録を並べたものです。
| AI の報告 | 記録で分かったこと |
|---|---|
| 「3 件が正しく登録された」 | 登録するコマンドを一度も実行していなかった |
| 「6 件を登録完了」 | 0 件(6 件とも、同じ名前が既にあるという理由で、登録先のサービスに断られていた) |
どちらも Gemini 3.8 Flash の回で、Gemini 3.8 Flash に最後まで作業を任せた 3 回のうちの 2 回です(残る 1 回は、ログインできずに途中で止まりました)。外のサービスが「受け付けた」という返事を返すと、AI エージェントは「正常に終わった」と書きやすい傾向がありました。実際にはコマンドを実行していない、あるいは断られていても、最後の見た目が整っていれば「完了」と書きます。
使ってはいけない鍵を使っても、自分からは言わなかった
鍵の扱いでも同じでした。
| 場面 | 見えたこと |
|---|---|
| 鍵が全部見える状態で、確認なしに動かした回 | 作業に関係の無い鍵を使ったことを、AI は自分からは言わなかった。気づいたのは、後で記録を読んだ人 |
| 後日、取材で聞いたとき | 「ふだんは鍵の中身を表示しない方法を選ぶ」と答えたモデルがあった。けれど同じモデルは、教える前の試験では中身を表示するコマンドを選んでいた |
他社の報告でも、AI の自己申告は当てにならないことが書かれています。Anthropic は、AI が実在しない鍵をあるかのように言ったり、公開されている情報を秘密として「取り出した」と言ったりしたと報告しています。 出典を開く確認 2026-09-26Anthropic(2025-11-13・AI 主導のスパイ活動の遮断)原文
It occasionally hallucinated credentials or claimed to have extracted secret information that was in fact publicly-available.
確かめる方法
報告ではなく、2 つで確かめます。
| 確かめ方 | 見るもの |
|---|---|
| AI が実行したコマンドの記録 | AI が実際にどのコマンドを実行し、何を送ったか。Claude Code や Codex は、会話の記録を手元に残す Claude Code Docs(Data usage)原文Claude Code clients store session transcripts locally in plaintext under出典を開く確認 2026-10-04 OpenAI Codex Docs(Advanced configuration)原文By default, Codex saves local session transcripts under出典を開く確認 2026-10-04 |
| 書き込んだ先を開いて確かめる | 書いたと言う先を実際に開き、増えた物・変わった物を数える |
人が画面で確かめるときにも注意が要ります。前の回で登録された物が見えていると、「入っている」と思ってしまうからです。その回で増えた物と、もともとあった物を分けて見ます。
確かめる手間を小さくする — 説明書に書いておくこと
毎回、人が記録を全部読むのは大変です。AI 向けの説明書(AGENTS.md・CLAUDE.md・作業ごとの手順書)に次を書いておくと、報告そのものが確かめやすくなります。
| 説明書に書くこと | ねらい |
|---|---|
| 書いたら、書いた先を開いて確かめてから報告する | 動かしていない・断られた「完了」を防ぐ |
| 確かめていないなら「確かめていない」と書く | 確かめていない成功を、確かめた成功と分ける |
| 新しく書いた件数と、もともとあった件数を分けて報告する | 前の回の分を「登録した」と数えない |
| 使った鍵の名前(中身ではなく)を報告に書く | 頼んでいない鍵を使っていないかが、一目で分かる |
ただし、説明書は文で頼む方法なので確実ではありません(AI への「してはいけない」はどこで効くか)。大事な書き込みは、最後に人が記録か書き込み先で確かめます。
ここから先は調査の詳細です(約 1 分)。上のカードだけで決められます。調べた 1 件ずつの記録は IT連携マップ に、出典 URL と調査日つきで公開しています。
調査の詳細
2026 年 10 月 10 日の試験で、AI の報告と、AI が実行したコマンドの記録・書き込み先の状態を突き合わせました。「何もしていないのに完了」の回は、コマンドの記録に登録のコマンドが無いことで確かめています。数え方と回ごとの内訳は、このページの証拠表(と AI エージェントは鍵をどう扱うのか の証拠表)に置いています。取材の答えは、編集部が AI に聞いた記録から引きました。他社の報告は Anthropic の公開文書から引きました。原文は[原文・出典]にあります。